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(社)長野県建設業協会

支部単位で高校と意見交換/担い手確保へ新たな取り組み

2018/11/09 長野建設新聞

 県建設業協会(木下修会長)は建設系学科を有する県立高校との意見交換会を支部ごとに開催する。担い手確保の取り組みを加速させるための新たな試み。7日には初弾となる中高・飯山両支部と中野立志館高校の会合が行われ、生徒にとって本当に役立つ支援策について活発に議論した。

 会合には支部側から塩川伸一中高支部長と藤巻篤飯山支部長、両支部役員など8人、学校側は田村浩啓校長と土木、建築科の教諭・講師3人が出席した。

 議題に掲げたのは①子どもや地域の実態を踏まえ教育課程(カリキュラム)を編成する「カリキュラム・マネジメント」について②地元企業への就職促進③地域独自の課題-の3項目。

 カリキュラム・マネジメントについて学校側は「専門教育に関して学校ができることには限度がある。そうした場面で皆さんの力をお借りできれば」と述べ、例として、より実態に即した図面の書き方の指導などを挙げた。支部側は「われわれの仕事は、まずは測量から」と、測量に関する授業の充実を要望した。また、田村校長は教養教育の重要性を強調し、支部側も「語学力や基本的な数学の知識は身に付けていてほしい。資格を取るためにも必要」と同調した。

 地元企業への就職促進に関しては、学校側が2013年度以降の土木科生徒の進路状況を紹介。進学以外はおおむね建設業に進んでおり、近年の傾向として技術者よりも技能者を志望し、専門工事業に就職する生徒も多いことを伝えた。また、昨年度の卒業生と本年度卒業予定者の就職先は飯山・中野管内よりも管外が上回っており、これについては「長野市や須坂市から通う生徒が地元で就職している」と説明。その上で「われわれも地元企業へ就職させたいという思いはある」と話した。

 離職率の高さについても議論が及び、田村校長は「給与や休暇の改善という話しになるが、それは他業種もやっている。そこで競うのではなく、インフラを守るという建設業の使命や意義を全面に出し伝えていくことが必要ではないか」と述べ、支部側も大いに同感していた。

 地域独自の課題に関しては、協会側が「あと10年も経てば除雪ができる者は半分ぐらいになってしまう。この地域では除雪は避けて通れない。冬場に除雪作業を体験してもらうのも手ではないか」と提起した。

 同校は3年前にも業界との意見交換を実施しており、ここでの意見を踏まえ、実践教育のカリキュラムを多く取り入れたり、土木施工のカリキュラムを1年前倒すなどしている。

 なお、8日には上小・更埴両支部が上田千曲、丸子修学館両校との意見交換会を開催。今後、他の支部でも順次実施していく。

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