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【省エネ対策】中規模建築物も適合義務制度の対象に

2018/12/04 本社配信

 パリ協定を踏まえた2030年度における温室効果ガス削減目標達成に向け、今後の住宅・建築物分野の省エネルギー対策のあり方を審議する国土交通省の有識者会議が3日に開かれ、第二次報告案の内容を議論した。報告案では課題ごとに実態に即した実効性のある対策を提言。新築住宅・建築物の省エネルギー基準への適合確保に向けては、現行で適合義務制度の対象となっている延べ床面積2000㎡以上の大規模建築物(住宅以外)に加え、延べ床面積300㎡以上2000㎡未満の中規模建築物(住宅以外)も対象とすることが適当とした。

 中規模建築物(住宅以外)の省エネ基準への適合率は91%と比較的高いことから、市場の混乱等の恐れはないとの見解を示した。ただし申請者の手続き負担が過度に増えることがないよう適合判定や完了検査の手続き簡素化など、円滑な実施へ環境整備が必要とした。

 延べ床面積300㎡未満の小規模建築物(住宅以外)に関しては適合義務化を「慎重に考える必要がある」としている。

 また対象拡大と併せて推進すべき施策として、大規模住宅・中規模住宅について所管行政庁の業務負担を減らし、基準不適合物件等への対応強化につながるガイドラインを策定するなど、的確に制度が運用できる環境整備を提言している。

 既存住宅・建築物の省エネルギー性能向上に対しては、長期間利用するリビング等の省エネ改修といった部分的・効率的な改修の有効性を検証しつつ、改修を促す方策や省エネ性能を簡易に診断・評価する手法の検討が必要とした。

 他にも消費者が物件選択の際に省エネ性能表示の情報を容易に把握できるようにするため、住宅事業者に対し住宅情報提供サイト等への表示を促す方策や、光熱費削減効果の表示方法などの検討も求めている。

 今後は報告案に対する意見募集を経て、来年1月に開く次回会合で報告を取りまとめる予定だ。

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