記事

事業者
長野県,(社)長野県建設業協会

協会「量・質確保と平準化を」/県「ロットは地域実情踏まえ」/意見交換会開く

2019/02/02 長野建設新聞

 県建設業協会(木下修会長)は1月28日、県関係部局長との意見交換会を長野市のホテル国際21で開催した。協会からは木下会長をはじめ副会長、支部長などが出席。県からは長谷川朋弘建設部長、池田秀幸危機管理監兼危機管理部長など7部局の幹部が参加した。木下会長は県による防災・減災加速化の取り組みに謝意を表し、「会員は仕事を通じて県民の安全・安心を確保し、地域に一層親しまれるよう努力する。一朝一夕にはいかないが協会一丸となって取り組む」と地域の守り手としての決意を伝えた上で、継続的・安定的な事業の確保を要望した。長谷川建設部長は「国は3年間に7兆円を投じて国土強靭化緊急対策を行う。県としても国の予算を積極的に活用し、皆さんと連携して県土の強靭化に取り組んでいく」との方針を示し、「この期間中に各企業においてi-Construction、担い手対策、働き方改革といった経営改革を進めてほしい」と求めた。

 会議では県側が部局ごとに2019年度の予算要求概要を説明した後、意見交換に移った。

 議論の内容は協会がかねてから提起している事業の質と量の問題に集中。質に関して協会は、県の平均落札率が隣接8県の平均に比べ1ポイント以上低いことや、17年度決算の売上高営業利益率(東日本建設業保証調べ)が東日本管内23都県中22番目に低い水準であることを挙げ、「品確法に明記された『適正な利潤』を確保するためにも、失格基準価格を引き上げる必要がある」と要望。これに対し長谷川建設部長は「低入札価格調査基準価格および失格基準価格は国の中央公契連モデルを参考にしながら設定している。この基準が改正された際には検討に入りたい」との考えに変わりはないことを伝えた。


■長谷川部長「緊急対策期間に経営改革を」

 また量に関しては、公共事業予算の確保とともに、切れ目のない発注を要望。また、経営規模の小さな会員が多くいる支部からはロットを小分けにした発注を求める意見も上がった。長谷川建設部長は「国の緊急対策期間中はそれなりの事業量が確保できる。平準化についても鋭意取り組んでいる。ロットに関しては、各建設事務所長に対し、地域の実情をよく考えて発注するよう指示している。工事が円滑に進むよう、協会支部と建設事務所で意見交換してほしい」と述べた。そして「今回の緊急対策は、各企業において財務体質を改善するチャンスでもある。i-Construction、担い手確保・育成、働き方改革といった必要な事業改革を進めるよい機会にしてほしい」と求めた。

 このほか協会は、働き方改革に伴う除雪作業の扱いについて「短期的に長時間労働にならざるを得ない。災害同様に労働時間の延長を認めてほしい」と要望。これに対し県は「オールジャパンの問題。全国の動きを見ながら考えていきたい」と回答した。


■青年・女性部会は建設部と意見交換

 続いて行われた県建設業協会青年部会(北條將隆会長)および女性部会(倉科里絵部会長)と県建設部の意見交換会では、将来に向けた担い手確保・育成について議論した。冒頭、両部会の担当副会長を務める清澤由幸氏は「ここ5年間でわれわれを取り巻く環境はスピード早く変化した。これらからの10年を考えた時に、青年部に一層頑張ってもらわなければ協会の10年後もない」と若手経営者集団への期待を述べ、北條青年部会長は「建設業は地域に根差し、将来にわたりインフラを守っていかなければならない。きょうの意見交換が1人でも多くの担い手確保につながれば」と話した。

 意見交換では、青年部が労働環境の改善に向けて失格基準価格の引き上げとともに、週休2日を普及させるため適正な工期設定や労務単価の引き上げ、経費補正率の改善を要望。官民連携による学校教育やPR活動の充実、入職後の資格取得支援といった提案も出た。また、若手活用を評価する入札制度については、取り組みの推進を求める一方で、継続的に求人を行っていても応募がない企業にとっては非常に厳しいとの問題点も指摘された。

 女性部会は、建設系学科を有する高校だけでなく普通科高校に対しても建設業の魅力を伝えることや、育児・介護休暇取得促進のための入札制度でのインセンティブなどを提案した。

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら