記事

事業者
埼玉県土木施工管理技士会

埼玉県技士会が県と技術懇談会/CPD対象工事拡大など要望

2019/02/13 埼玉建設新聞

 埼玉県土木施工管理技士会は6日、さいたま市内のヘリテイジ浦和別所沼会館で2018年度県土整備部との技術懇談会を開催した。今回は特に総合評価方式における簡易型での継続教育(CPD)の評価項目の復活をはじめ、働き方改革の推進による長時間労働是正の観点でも重要となる設計図書(設計コンサルの成果品)の精度向上、県版の土木工事書類作成マニュアル策定の必要性などを訴えた。

 懇談に入る前に松本泰典会長は「多くの課題は工事現場における施工管理と密接に結び付いたものであり、将来にわたり技術力の向上と現場環境の改善の2つは時代の要請です。現場に携わる者として蓄積された課題を軽減できればと思っています」とあいさつ。

 発注者側を代表して田中勉建設管理課長は建設業界が抱える課題として、経営の安定化、生産性の向上、就労環境の改善、担い手確保―の4点を挙げ、公共事業予算の確保、債務負担行為などによる施工時期の平準化、ICT(情報化施工)導入、土曜一斉休工などの取り組み状況を報告。その上でともに連携して課題に向き合うことの重要性を述べた。

 議事では県からの情報提供として、田口敬之主査が働き方改革に向けた県の取り組み、黒河内直子主査が総合評価方式の実施状況、近藤賢吾主査が4月から適用される県土木工事成績評定要領についてそれぞれ解説。評定要領では工事書類策定にあたり、見栄えにつながると考えられる評価項目の廃止など注意点を説明した。

 一方、技士会からは技術顧問の山口勝氏が会の紹介として、事業活動とCPDSの取り組み状況などを報告。その後、意見交換へと移行した。

 提案議題は『総合評価方式』『設計積算』『業務の効率化・生産性の向上』に関するもので、現場での課題を中心に意見を交え、熱のこもった懇談会となった。

 CPDの評価に関しては、今年度のガイドラインの改訂で簡易型(標準パッケージ:土木Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型、特定課題パッケージ:若手育成型・地域担手型)において、CPDの取り組みが評価対象から外されたことに対するもの。

 設計図書の精度向上については、発注図と実際の現場との差異、設計条件と現場条件の不一致を指摘。着工の遅れや現場経費の増加につながり、成果品に対する厳格なチェック体制の強化を求めた。

 県版のマニュアルの策定は、提出書類の簡素化・削減と合わせて、必要な書類に関する共通認識を受発注者間で確認することで、現場ごとの不均衡をなくすために要望した。

そのほか昨年、一昨年と同様に寄せられた継続的な意見として、『発注(入札)段階での施工に影響を及ぼす諸条件の明示』『工事書類の受け渡し』『設計変更に伴う概算額の明示』『総合評価の技術提案』について再度要望を提出。

 フリー討議後の総括で根岸清志副会長は「現場での適正な利益の確保と業務の効率化による書類の削減が、一番大きな課題であると感じました。若い技術者がやりがいを持って働ける環境の改善に向け、今後ともご指導をいただければ」とお礼を述べた。

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら