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舗装工事は改善検討/委託業務では効果発揮/総合評価簡易Ⅱ型

2019/02/15 長野建設新聞

 県技術管理室は8日に開かれた本年度第4回県契約審議会で、同額入札によるくじ引き決定を抑止するため委託業務と舗装工事で試行している「総合評価落札方式(簡易Ⅱ型)」の実施状況(2018年12月末現在)を明らかにした。委託業務では受注希望型競争入札のくじ引き発生率が66.0%であるのに対し、簡易Ⅱ型は40.9%と、効果が発揮されていることが分かる。一方、舗装工事は受注希望型51.5%、簡易Ⅱ型50.7%とほぼ同水準で、技術管理室は「発注機関に対し、評価項目の選択について、より効果的な運用を要請しており、これと並行して改善に向けた検討を進めていきたい」との考えを示した。

 委託業務では、本年度12月末までに落札した1300件のうち606件がくじ引きで決定。発生率は46.6%で、前年度に比べ0.5ポイント低下している。入札方式別では、受注希望型の発生率が66.0%と依然高く、1件当りのくじ引き対象者数も平均9.8者に上る。これに対し簡易Ⅱ型は発生率が40.9%、平均対象者数が4.5者に抑えられており、技術管理室は「一定の効果が出ていると考えており、今後も現行の運用を継続する」とした。なお、本年度の簡易Ⅱ型のくじ引き発生率、対象者数とも前年度を上回っており、これについては「本年度から地域加点の配点を見直したためだと考えている」との見解を示した。

 一方、舗装工事では、本年度12月末までに落札した162件のうち70件がくじ引きで決定。発生率は43.2%で、前年度に比べ7.3ポイント低下している。

 簡易Ⅱ型を採用したのは67件で、くじ引き発生率は50.7%、平均対象者数は7.0者。受注希望型の発生率が51.5%、平均対象者数が6.4者であることを踏まえると、効果が出ているとは言えない状況だ。また、発注機関によって状況にばらつきも見られ、長野建設事務所は簡易Ⅱ型を採用した10件全てがくじ引き決定となった一方、飯田建設事務所は12件中3件にとどまっている。

 技術管理室は、効果が発現されない主要因として評価項目の偏りを挙げ、「多くの案件で『地域要件(本店等所在地)』と『技術者配置(主任技術者を専任配置)』を選択しているが、多くの応札者はいずれも加点され、結果として差が生まれなくなっている」と説明。「発注機関に対して、選択項目を固定せず、地域の実情を踏まえ効果的な運用を図るよう要請している。今後はこれと並行して改善に向けた検討を進めていきたい」と話した。

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