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日立造船と6月にも基本協定 甲斐市のバイオマス

2019/04/27 山梨建設新聞

 木質バイオマス発電施設の整備で甲斐市は本年度、事業着手する。早ければ6月にも事業を担う日立造船(東京都品川区)と基本協定を結ぶとともに用地の測量や不動産鑑定などを始める。協定には施工に市内業者を活用することも盛り込む。用地調査の進捗によっては年度内の補正予算案に用地取得や物件補償などの経費を計上する可能性もある。稼動開始は2022年度を予定している。

 市と日立造船とで基本協定を結んだ後、日立造船が主体となって事業の管理・運営などを行うSPC(特別目的会社)を立ち上げる。SPCには甲州市で林業を営む古屋製材らが入る見込み。用地は今後市が取得・造成し、SPCに貸す。発電プラントは日立造船主体で建設し、発電した電気はプラントで使う分を除きすべて電気事業者に売る。国が定めるFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)での買い取り期間に合わせ事業期間は20年間とする。

 当初は昨年度中に協定を結ぶ予定だったが「若干計画に遅れが出ている」(市環境課)。現在市と同社とで協定の内容の最終確認を進めており、早ければ6月にも協定を結ぶ見通しだ。協定には市と事業者の役割分担や地代などを明記する。

 市の本年度当初予算には事業費として約3000万円を計上。協定締結後、用地の測量や不動産鑑定、補償物件の算定などに着手する。用地費の算定には半年程度かかる見込み。進捗によっては年度内の補正予算案に用地費を計上し用地を取得するほか、造成に向けた設計へと進める。

 市によると発電量は一般家庭約1万3600世帯分にあたる6950■kW時間。このうちプラントで使う電力を除く6200kw程度を売電する見込み。プラントは点検などの期間を除き24時間、年330日程度稼動する。使用する木材は県内外の国産材。間伐され放置されていた「未利用材」で発電した場合、買い取り価格は1kwあたり32円、その他の木材の場合は24円。SPCに入る売電収入は年13億円程度とみられる。発電で出た排熱は周辺にある双葉体育館や市民温泉「百楽泉」などで暖房の熱源などに活用する。それに使う管などは市が整備する予定だ。

 プラント建設にあたり市は日立造船にできるだけ市内業者を活用するよう求める。工期は1年半~2年程度を見込んでおり2022年度中の運転開始を目指す。建設地は双葉スポーツ公園(同市岩森)北側に広がる農地や山林、計2・2h。すでに農振除外されており開発行為ができる状態。一部にぶどう棚があり補償の対象になる。

 同社は茨城県常陸太田市でも同様の発電事業を展開。発電出力は5750■kw時間と今回より落ちるがプラント建設などに30億円程度かかっている。



【写真=双葉スポーツ公園北側に整備】

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