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建設業労働災害防止協会千葉県支部

災害なき建設業こそ/真実の姿に変える日/建災防千葉分会/第48回安全大会

2019/06/27 日刊建設タイムズ

 建設業労働災害防止協会千葉県支部千葉分会(伊藤靖雄分会長)の主催による「第48回安全大会」が14日、千葉市内の三井ガーデンホテル千葉で開かれ、会員300人余が参加。千葉労働基準監督署の篠﨑和代署長らの来賓祝辞、年間無災害及び工事無災害などの各種表彰に加え、誰もが健康に安心して働くことが出来る職場環境づくりに邁進することを誓う「大会宣言」を採択。さらに、作家・心理学者で、早稲田大学オープンカレッジ講師の晴香葉子氏を講師に招き、「安全でやる気に満ちた強い組織へ~ヒューマンエラー&コミュニケーション~」をテーマに特別講演も行った。


 災害撲滅へ300人余


 主催者を代表してあいさつした伊藤分会長は、5月末の速報値として、県内全域における建設業での死亡災害が3件、いずれも非会員事業場による墜落・転落で、うち1件が千葉監督署管内での発生と報告。「相変わらず、三大災害の一つである墜落・転落災害が後を絶たない」と厳しく指摘した。

 一方で、高齢ドライバーによる事故が連日のように報道されることに対しては「建設業も他人事ではない」とし「アクセルとブレーキの踏み間違えなど、建設現場においても似通った部分があると思う」と言明。「建設業のみならず、全産業で少子高齢化での人手不足から、現場での高齢化に伴う高齢者による災害も懸念される」との危機感を示した。

 今年4月から施行された働き方改革関連法や、外国人労働者の雇用促進、4週8休の実現、フルハーネスへの移行などに対しては「我々建設業界の経営及び労働環境は非常に厳しくなり、取り組みも多くなるが、その中でも安全は、すべてにおいて優先される」と改めて強調した。

 7月1日からの全国安全週間に言及した伊藤分会長は、『新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場』という今年のスローガンを紹介。「在来型の墜落・転落による災害が増加傾向にあるので、その強化を図るべく、不安全行動の防止のための安全衛生教育の徹底で労働災害の撲滅に取り組む」と述べるとともに「改めて、日頃の安全衛生活動のあり方を見直し、会員事業場の安全意識をさらに高めるため、本日の安全大会を実りの多いものにして頂きたい」と要請。

 今後は、この時期特有の熱中症が心配されることから「併せて対応を徹底して頂きたい」との注意を喚起。最後に「明るく快適な職場づくりを推し進め、建設現場で働く労働者の方々が豊かな生活を送ること、さらには、会員事業場のみなさんの夢が叶うことを祈念する」と結んだ。


 三村起一氏の言葉/今一度思い起こし


 引き続き、千葉労基署の篠﨑署長は、昨年の建設業労働災害発生状況について「県内全域で発生した建設業の死亡災害10件のうち、5件が千葉署管内で発生したという、大変憂慮すべき結果となった」と報告。この4月には、全国安全週間を前に千葉労働局長から、緊急の災害防止に向けたメッセージが発信されたことに対しては「休業4日以上災害の増加に歯止めがかからない状況にある。各事業場においても、災害防止に加えて、熱中症予防などの健康管理の徹底を図り、これ以上の災害を発生させない強い意志での協力をお願いしたい」と要請した。

 一方で篠﨑署長は「大正から昭和時代にかけての実業家に、三村起一さんという方がいる」と紹介。「日本の石油開発など、企業の労務管理と向上安全運動等に非常に尽力された方だが、『災害なき生産こそが真の生産である』という言葉を残された」とし、「私どもは、その言葉を今一度思い起こして、災害防止に取り組んでいきたい」との決意を示し、祝辞に代えた。


 激励の意味と/深く胸に刻む


 各種無災害表彰では、受賞者を代表して新日本建設㈱作業所長の山口護氏が「我々建設業に携わる者の一員として、災害ゼロを目標に研鑽を積んできたが、未だみなさんの期待に添えるまでには至っていない。この栄えある受賞は千葉分会員として『なお一層、労働災害防止に取り組むように』との激励の意味で頂くものと深く胸に刻み、本年度の全国安全週間のスローガンである『新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場』を合言葉に、今後もますます安全管理活動に邁進する覚悟である」と述べ、謝辞とした。


 大会宣言


 私たち会員一同は、すべての労働災害を撲滅するため、日々安全管理に取り組んでいる。昨年度は、第13次労働災害防止計画の初年度であったが、残念ながら労働災害が目標値を上回る、残念な結果となってしまった。本年も現在のところ、死亡災害が1件発生しており、休業4日以上災害は増加傾向となっている。

 また、建設業は墜落・転落災害が多いことで、重点対策の業種でもある。

 目指すべき「死亡災害ゼロ」を念頭に、安全で安心な職場環境の整備を図り、「働き方改革」を実現するとともに、全国安全週間を前に「人命尊重」という崇高な基本理念の下、引き続き安全衛生活動をさらに積極的に実施し、労働災害撲滅へのさらなる取り組みを行っていく。

 本大会を契機とし、会員事業場だけでなく、協力業者や一人親方まで、作業を行う一人ひとりに対して、このような現状を共有し、本年度の安全週間スローガンである『新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場』のもとに、安全意識の高揚と安全活動の定着を図り、誰もが健康に、安心して働くことができる快適な職場環境づくりに邁進することを、ここに誓う。


   2019年6月14日

     建設業労働災害防止協会

      千葉県支部千葉分会

       第48回安全大会


 安全大会表彰

 事業場賞


 【年間無災害賞】

 ○鵜沢建設㈱

 ○㈱オカモト

 ○北辰建設工業㈱


 【工事無災害賞】

 ○鵜沢建設㈱=千葉県消防学校・防災研修センター(訓練塔・燃焼実験室外)建築工事

 ○㈱竹中工務店=(仮称)坂口電熱ちばリサーチパーク新棟計画

 ○新日本建設㈱=(仮称)千葉市美浜区ひび野1丁目A-1街区計画新築工事

 ○㈱笹原工務店=(仮称)地域密着型特別養護老人ホームぬくもりの家惣社新築工事

 ○㈱清水土木=下水道施設改良工事(本町30-1工区)


 個人賞


 ○河野 博(鵜沢建設㈱)

 ○小林 忠(㈱昇和産業)

 ○富樫 純(北辰建設工業㈱)

 ○大坪 久(西松建設㈱関東建築支社)

 ○藤澤 宏(五洋建設㈱東京土木支店(兼)東京建築支店)

 ○田下博道(若築建設㈱千葉支店)

伊藤分会長 篠﨑・千葉労基署長 晴香講師(作家・心理学者) 記事資料 年間無災害賞 工事無災害賞 個人賞

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