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建設業労働災害防止協会千葉県支部

「全国安全週間」始まる/年間最少一桁に挑む/建災防千葉県支部

2019/07/01 日刊建設タイムズ

 ――新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場――をスローガンとする「第92回全国安全週間」が1日、全国各地で一斉に始まった。昨年の県内建設業における死亡災害は10人で、一昨年に記録した過去最少と並んだ。本年もさらなる「年間最少記録」と同時に、念願の「年間一桁」の実現に向けて、県内建設業界が一丸となり、ゴールめがけて驀進する。


 近年の「減少傾向加速」で


 第92回目の「全国安全週間」を迎えて、建設業労働災害防止協会千葉県支部の前田泰弘支部長は、支部としての労働災害の「現状認識」と「今後の取り組み」について言及。これまで、長年にわたる重篤な労働災害の撲滅、特に、死亡災害の撲滅を目指して活動を続けきた同支部では、ここ3年間の千葉県内建設業における死亡災害の特徴についてまとめた。


 過去3年50%が/「墜落・転落災害」


 第1点は、墜落転落災害をはじめとする「三大災害関係及び交通労働災害の多発」。過去3年の総数32件のうち、16件(50・0%)が墜落・転落災害で占められ、4件(12・5%)が交通事故災害と続く。これらについて前田支部長は「数字の上でも、三大災害と交通労働災害対策の重要性が裏付けられている」と指摘。また、今年2月から、一定の高所作業についてフルハーネスの使用が原則化。この作業に従事する者は、特別教育の受講が義務づけられたことから「建設業における墜落災害防止への関心は一段と高まる」との見通しを示した。


 非会員が81.3%


 第2点として「死亡災害に占める非会員事業場の割合が依然として高率」なこと。同じく、ここ3年間32人のうち、26人(81・3%)が、元請・下請を含めた非会員事業場であることについて前田支部長は「非会員事業場の安全衛生水準が一概に低いと断定はできないが」と前置きしたうえで「今後、県内建設業での重篤な労働災害防止を推進するには、非会員事業場の解消が急務である」と強調した。


 施工計画作成時の/リスクアセス充実


 第3点としては「改修・更新・解体」の改修等工事における死亡災害が、同じくここ3年間に18件(56・3%)が発生。施工に係る制約が多く、技術的にも難易度が高い改修等工事は、「施工計画作成時におけるリスクアセスメントの充実を図る必要がある」と指摘。

 建設業以外では定常時の災害が大きく減少し、非定常時での災害が多発していることには「元々建設業では、非定常作業の比重が高く、とりわけ改修等工事は、非定常作業の比重が高い傾向にある」と分析。

 総じて「これら3点の傾向を踏まえ、安全対策の充実を図る必要がある」とし「全国安全週間中に、労働災害防止計画に示された実施事項とともに、県内建設業における死亡災害の特徴を再確認。それぞれの立場で責任を持って取り組み、実りある安全週間にしたい」との決意を込めた。

前田支部長 高橋・千葉労働局長

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