記事

事業者
建設業労働災害防止協会千葉県支部

健康づくりは人づくり/健康職場をみんなで/全国労働衛生週間に向けて/建災防かずさ分会が事前説明会

2019/09/19 日刊建設タイムズ

 10月1日からの「2019年度全国労働衛生週間」に向けて、建設業労働災害防止協会千葉県支部かずさ分会(松本信夫分会長)は今月4日、木更津市内のかずさ建設会館で実施要領事前説明会を開いた。同説明会では、木更津労働基準監督署の濵﨑喜明署長のあいさつをはじめ、第1部で「全国労働衛生週間実施要綱等」、第2部で「建設業における働き方改革の推進に係る取り組み」(国交省関東地方整備局資料説明含む)の説明で構成。講師は、第1部を上田功・安全衛生課長と上村隆一・産業安全専門官、第2部を中峰悠児・第三方面監督官が担当。同事前説明会には、会員45人が出席した。


働き方改革の推進も


 全国労働衛生週間は、「すべての働く人たちが快適な毎日を過ごすこと」を目指して行われるもので、1950年の第1回以来、本年で70回目を数える。今回のスローガンは「健康づくりは 人づくり みんなでつくる 健康職場」

 主催者を代表して、かずさ分会の松本分会長は、同分会の現在の会員が241社で、昨年に比べて5社以上増加したことについて「建設関係の会員のみなさんの『重篤な災害を起こさない』という熱い思いだと思う」と言明。さらに「万一があっては『取り返しがつかない』ということを分かっているからこそ、建災防からの情報発信を従業員に伝え、真摯な対応を企業として取り組んでいる証しである」と続けた。

 一方で、建設業が置かれている状況については「働き方改革が、ここ何年か言われ続けている」とし「我々自身が仕事を見た時に、雇用問題や少子高齢化を控える中で、従業員を含めて、経営者が健全なかたちで事故を起こさないことが求められる」と指摘。時間外労働や有給休暇についても「かつての建設業の3Kと言われた業種から脱却し、幸せな雇用関係の中で地域発展のために尽くすことが、我々建設業の使命であることは、みなさんと同じ思いである」と強調した。

 他方で「重篤な災害を起こさない」というモットーに反して、「今年は残念なことに、4月初旬に、かずさ管内で2件の死亡災害が発生してしまった」と悲痛な面持ちで報告。建災防千葉県支部が一丸となり、県内全体における建設業死亡災害一桁の達成を目指す方針を改めて強調し、「『起きてしまったら取り返しがつかない』ことを強く胸に刻み、前を向いて、みなさんと邁進していきたい」との決意を示し、あいさつとした。


メンタルヘルス重視/パワハラ防止対策を


 「私からは、労働災害の防止と心とからだの健康管理についてお願いしたい」とした木更津労基署の濵﨑署長は、8月末の集計で、県内建設業での死亡災害が7件(前年同期比1件減)、そのうちの2件が、同署管内で発生していることに言及。加えて、建設業における7月末現在での休業4日以上の災害が、前年同期の24件から40件(66・7%増)に大幅に増加したことを指摘。「このことは、非常に憂慮すべき事態である」と断じた濵﨑署長は、「今年も残り約4か月。建設業の各事業場と工事現場においては、是非とも災害ゼロを達成するよう、安全管理のさらなる徹底をお願いする」と強く要請した。

 一方、心の健康管理については「メンタルヘルス対策をお願いする」と要請。濵﨑署長の説明によると、県内の昨年度の精神障害に係る労災請求件数は前年度比3件増の57件で、過去最多を記録。「つまり、精神障害の労災事案の請求件数は、年々増加傾向にある」とし「各事業場において、まずはメンタルヘルス対策推進者を選任し、心の健康づくり計画を策定。その後、当該計画に沿って教育や研修を実施し、さらに職場環境では、特に人間関係の問題として、パワハラ防止対策の推進をお願いしたい」と呼びかけた。


ストレスチェック/からだの健康管理


 労働者50人以上の事業場に対しては「年に1回のストレスチェックを行い、メンタルヘルスの不調による労働災害防止。からだの健康管理については、過重労働による健康障害の防止をお願いしたい」と要請。それによる脳疾患や心臓疾患に係る労災請求事案が、昨年度で31件、前年度に比べて3件増加したことには「過重労働による労災請求事案はほぼ横ばいで、相変わらず高水準にある」と指摘。各事業場に向けて「労働時間の適正な把握のために、使用者が講ずるべく措置に関するガイドラインを順守し、過重労働による健康障害の防止をお願いする」と改めて呼びかけ、あいさつに代えた。


出席者


 ▽山田敦子(㈱青木建材土木)▽我妻重一(㈱我妻建設)▽石村達雄(石村建設㈱)▽片海裕光(伊東建設興業㈱)▽伊藤健一(㈱伊藤土建)▽猪瀬朝美(㈱イノセ)▽岡田勝己(岡田建設㈱)▽奥村成美(㈲奥村工業)▽小倉孝雄(㈱小倉鑿井工業所)▽緒形 弘(㈲上總興業)▽勝倉康博(上総工業㈱)▽川名史泰(㈱川名工務店)▽古山幸一(㈱北袖商事)▽白石文男(㈲君津運輸建設)▽松本信夫(キミツ鐡構建設㈱)▽石井裕樹(同)▽小駒 幸(㈱君津特殊)▽関谷みゆき(㈱現代建設)▽岡村 淳(光商産業㈱)▽山下喜美子(㈱佐々木工務店)▽佐生高利(㈱佐生)▽柴崎 香(㈱シバサキ建設)▽千葉和正(新興土建㈱)▽木村通良(新葉産建㈱)▽和田 啓(綜和熱学工業㈱)▽遠藤智朗(太勢建設㈱)▽露﨑志津子(㈱大鐡建設)▽須藤 智(中央建設㈱)▽三倉 裕(㈱東日産業)▽後藤正徳(㈱道標)▽鈴木和弘(長浦設備㈱)▽中山由美子(㈱中山工務店)▽宮下和雄(日新建設㈱)▽髙橋延嘉(㈱ハマダ)▽永田 宏(㈱富津機工)▽角南正昭(富津転業土木造園協同組合)▽多村正人(房総建材工業㈱)▽梶尾憲一郎(ホーナン建設工業㈱)▽神子 滋(㈱マスヤ)▽鈴木正一(三木造園土木㈱)▽安川新一(㈱安川組)▽須田次夫(㈱八千代商事)▽小形 満(ヤマダ建設㈱)▽岩永昭浩(六幸電気工業㈱)▽渡邊 修(㈱渡辺工務店)

松本分会長 濵﨑・木更津労基署長 上田・安全衛生課長 上村・産業安全専門官 中峰・第三方面監督官 記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら