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茨城県廃棄物対策課

県内全域で可能地調査/県が最終候補地選定/県の新しい産廃最終処分場

2019/09/20 日本工業経済新聞(茨城版)

 県内に新たな産業廃棄物最終処分場を整備することについて、県議会一般質問(11日)で豊田茂議員(無所属)が県の検討状況を質した。矢口和博県民生活環境部長は答弁で、新施設の整備に向けて外部有識者による検討委員会を設置し、新たな産業廃棄物最終処分場整備の基本方針を策定したことを報告。「今後、検討委員会を拡大し、地下地盤工学や動植物、水環境工学などの専門家を加え、県内全域を対象に整備可能地の調査を進める。委員会で複数の候補地を選定した後、県が最終候補地を選定する」と、今後の見通しを示した。


 新たな産廃最終処分場整備の基本方針によると、新施設は公共が関与して整備。種類は管理型で、事業運営主体は県環境保全事業団等の廃棄物処理センターの指定を受けた県出資法人等。埋立容量は170万~260万立方mを確保し、埋立期間は15~20年程度。中間処理施設の併設は必要性の有無を検討していく。

 整備候補地は段階的に絞り込み、2019年度内に複数の候補地を選定。21年度までに整備地を決定して基本計画の策定などを進め、23年度から建設工事を行う。供用開始の目標は25年度。

 県が関与している産廃の最終処分場は管理型の「エコフロンティアかさま」(埋立面積9・8ha、埋立容量240万立方m、笠間市福田)がある。しかし18年度末の埋立進捗率が6割超で、25年度ごろには埋立終了となるため、それまでに新たな施設を整備する必要がある。

 そのため県では、有識者などによる「新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会」(委員長・大迫政浩国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長)を設置し、整備方針等を協議し、協議の結果を踏まえ県が整備基本方針をまとめた。

 基本方針によると、候補地は県内全域を対象に整備可能な地点を調査・選定し、段階的に絞り込む。

 一方、エコフロンティアかさまの建設の際には一部で反対運動があり、県では丁寧な地元説明や安全・安心な施設運営に努めている。

 それらを踏まえ矢口県民生活環境部長は答弁で、新たな最終処分場の整備に向けて「検討委員会の検討過程の透明性と候補地選定の客観性を確保していく。最終候補地を選定した後は、施設の必要性、選定理由、環境保全対策などを丁寧に説明し、理解と協力を得られるよう最大限努めていく」と説明した。

 整備基本方針によると、候補地は県内全域を対象に整備可能な地点を調査・選定し、段階的に絞り込む。

 1次調査では、土地利用計画や防災面、地形・地質などの法令制約地域などを除外し、必要容量や地形、浸出水の処理、交通アクセス、周辺状況などを考慮して抽出する。

 2次調査では地盤や動植物、水処理などの専門的な観点から検討。3次調査では生活環境や経済性などによる比較検討や総合評価を行い、複数の候補地から最終候補地を県が決定する。

 整備可能地調査業務は20年3月末までの納期で㈱建設技術研究所(東京都中央区)が行っている。

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