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建設業労働災害防止協会千葉県支部

人づくりと健康づくり/たばこ「煙」被害も追求/全国労働衛生週間に向けて/建災防京葉分会が事前説明会

2019/09/25 日刊建設タイムズ

 10月1日からの「2019年度全国労働衛生週間」に向けて、建設業労働災害防止協会千葉県支部京葉分会(石神信夫分会長)は今月12日、市川市内の京葉建設会館で実施要領事前説明会を開いた。同説明会では、船橋労働基準監督署の小菅拓也副署長のあいさつをはじめ、市川市医師会で秀栄クリニックの岩澤秀明院長を講師に招いて、「受動喫煙って、何?-たばこの健康被害と法改正-」をテーマとした特別講演のほか、船橋労基署安全衛生課の朝生和弥・安全専門官による「全国労働衛生週間実施要領の説明」で構成。同事前説明会には、会員34人が出席した。


受動喫煙」で特別講演


 全国労働衛生週間は、「すべての働く人たちが快適な毎日を過ごす」ことを目指して行われるもので、1950年の第1回以来、本年で70回目を数える。今回のスローガンは「健康づくりは 人づくり みんなでつくる 健康職場」

 主催者を代表して、京葉分会の石神分会長は「最近では、スローガンにもあるように、職場におけるメンタルヘルス不調や過重労働など、健康確保対策が重要な課題」とし「そこで本日は、船橋労働基準監督署から小菅副署長らを招いて講演をお願いした」と説明。一方、管内建設業における災害状況については「大変残念なことに、つい最近も熱中症で一人の死亡災害があった」と報告。「これ以上の災害が増えない状況をつくっていきたい」との方針を示した。

 引き続き、来賓の小菅・船橋労基署副署長は、今回のスローガンの中の「人」と「つくる」に言及。労働者と使用者との「双方向によるコミュニケーションが、取り組みの核になる」との重要性を説き、あいさつとした。 


危険因子の暴露を/減らすべきと主張


 「受動喫煙」をテーマとする特別講演で岩澤講師は、受動喫煙について「他人のたばこの煙を吸わされること。言わば『受け身』の『喫煙』」と指摘。たばこ・受動喫煙対策の意味としては「化学物質としてだけでなく、粒子としても人体に有害なので、喫煙・受動喫煙(危険因子)の暴露を減らすべきだ」と訴えた。

 また、アメリカ合衆国の2006年公衆衛生総監報告を引合いに、受動喫煙は、①非喫煙のこどもと大人の健康を損ない、早死にさせる②親の喫煙により、こどもの呼吸器症状が増える③大人の心筋梗塞と肺がんの原因となる④「安全レベルはない」ことが、科学的研究により証明されている――とした。

 受動喫煙防止に向けて、健康増進法の一部を改正する法律が昨年7月に成立し、来年4月1日の全面施行への準備が進むことについては、「望まない受動喫煙の防止を図ることが目的」と強調。最後に、たばこ・受動喫煙対策の意味として「吸わない人にも、様々な病気を増加させる喫煙・受動喫煙(危険因子)の暴露を減らすべき」と改めて呼びかけ、講演を結んだ。


生活不調を事前/拾い上げが有効


 建設業労働災害防止協会の錢高一善会長は、全国労働衛生週間に向けてのメッセージの中で、建災防の「第8次建設業労働災害防止5か年計画」において、過重労働による健康障害防止やメンタルヘルス対策などを、重点課題として挙げたことに言及。

 メンタルヘルス対策については「生活に現れる不調を事前に拾い上げることが有効」とし、建設現場においては、ストレスチェック制度に基づいた対応に加え、安全施工サイクルを活用した「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」の実施に引き続き取り組むことで、「働く人々の健康の保持・増進、職場環境の改善に努めて頂きたい」と要請。

 一方、建設業において大きな課題である「石綿障害をはじめとした職業性疾病の減少」に向けては、本年度の「建設業労働災害防止対策実施要領」を参考に、特に石綿の有無に関する事前調査や飛散・暴露防止対策の徹底を呼びかけている。


出席者


 ▽石神信夫(高根建設㈱)▽髙山貴子(本田土木工業㈱)▽中川 修(㈱中川工務店)▽飯塚重房(飯塚建設㈱)▽岩堀一巨(岩堀建設㈱)▽貝瀬 圭(㈱ウラタ)▽宇田川孝雄(尾頭建設㈱)▽長澤一夫(㈱大城組)▽新井豊久(㈱小田原工務店)▽岡田哲尾(㈱風間建設工業所)▽高橋一禎(カネケン京葉コミュニティ㈱)▽上條和彦(上條建設㈱)▽土信田 隆(京葉都市開発㈱)▽湯原治己(㈱ケイハイ)▽渡部智光(工営建設㈱)▽酒井康之(㈱鹿野建設)▽橋本和親(杉山建設工業㈱)▽小川雄一郎(㈱セイフティ)▽高梨秀聡(大市産業㈱)▽矢島弘幸(㈱DAISHU)▽所 登(大誠建設㈱)▽渋谷保治(千葉建設㈱)▽有泉保幸(テッコウエンジニアリング㈱)▽田村 実(㈱ティーエスケー)▽堀内 拡(㈱デベロップ)▽高呂清司(トキワ建設㈱)▽佐次田太一(土佐工業㈱)▽渡辺 武(㈱中川組)▽芹田 誠(日本ケーブル㈱)▽萩原秀文(㈱日本都市)▽畠山和弘(畠山建設㈱)▽栗林治夫(㈱日の出設備)▽海老根進一(不二公業㈱)▽小竹一輝(古橋工業㈱)▽福田祐太(福田建設㈱)▽鈴木 尚(㈱平成建設工業)▽斉藤浩仁(㈱保戸田組)▽小峯 勉(まえだ興業㈱)▽前橋規晃(丸大工業㈱)▽宮原謙二(宮原建工㈱)▽儀同貴広(三徳建設㈱)▽野口彰夫(雅野建設㈱)▽土井美香(㈱横河ブリッジ)▽吉水安彦(㈱吉水電機工業)▽池田拓哉(利興建設㈱)▽松丸知寛(松丸建設興業㈱)▽関 薫子(櫻工営㈱)

石神分会長 小菅・船橋労基署副署長 岩澤講師 記事資料

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