記事

事業者
栃木県足利市

新クリーンセンター、DBOで326.8億、公設公営に比べ6.1億削減、足利市PFI導入中間報告

2019/10/04 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、新クリーンセンター建設事業におけるPFI等導入可能性調査の中間報告をまとめた。概算事業費はDBO方式が326億8000万円、BTO方式が359億6000万円。従来方式に比べ、DBO方式は6億1000万円の事業費圧縮が見込める。概算事業費は民間活力導入により一定の削減効果があり、定性的評価検討を経て最終的な事業手法を選定する。

 既存の南部クリーンセンター(野田町826-1)は1983年の供用開始以来、40年近くが経過。老朽化が著しく、建て替えが決まっている。2021年度までに設計を済ませ、22年度に着工の予定。焼却処理能力は日量170㌧に設定し、2炉構成とする。

 処理方式は「ストーカ式焼却炉」「流動床式ガス化溶融炉」「シャフト式ガス化溶融炉」の3方式から選択する。02年にダイオキシンの規制が強化されたため、これ以降に日量130㌧以上の焼却炉を施工したプラントメーカー9社にアンケート調査を試みた。

 その結果、3方式のいずれかの施工実績を有す7社から回答が寄せられた。これら見積額を平均し、概算事業費を試算。公設公営方式と比較したVFMはDBO方式が1・8%(6億1000万円減)、BTO方式はマイナス8%(26億7000万円増)となった。

 概算事業費の算定項目は①新廃棄物処理施設の設計・施工費②既存施設の解体工事費③維持管理費④運営費-の4項目。維持管理費と運営費はともに新施設完成後20年間。公設公営方式の概算事業費は332億9000万円だった。

 DBO方式は市が資金を調達し施設の設計・施工、維持管理運営を民間事業者が担当。BTO方式は民間事業者が資金調達し施設の設計・施工後、所有権を市に移転。その後の維持管理運営は民間事業者が担当する。

 既存施設の敷地面積はクリーンセンターが1・5ha、地域還元施設(農業研修センター、運動場)が1・2haの計2・7ha。東側の農地を買い増し5・7haの広さとする。今年度当初予算では事業費2億6775万7000円を措置し、拡張用地の取得を進めている。

 民間活力を導入する場合、PFIアドバイザリー業務、設計・施工モニタリング業務、維持管理運営モニタリング業務をそれぞれ委託する。焼却炉の処理能力は1基当たり日量85㌧、リサイクル施設の選別規模は日量15・8㌧、ストックヤード保管能力は日量12・2㌧。

 リサイクル施設は粗大ごみや不燃ごみの処理、ペットボトル、ビン、缶を選別する。リサイクル施設西側のストックヤードでは資源物や有害ごみを一時保管。

排出される処理残渣(焼却灰、飛灰、溶融スラグ)は資源化し、最終処分量を極力削減する。

 配置計画案は余熱体験施設の西側が新ストックヤード(2500平方m)、北側が一般利用者用駐車場、東側は新焼却施設(5670平方m)、高さ60mの煙突、新リサイクル施設(2480平方m)、計量棟、従業員駐車場、調整池。

 排出ガスは法規制値を大幅に下回る自主規制値を設け、地域住民の不安解消に努める。騒音や振動はいずれも50デシベル以下とし、臭気指数は県の規制基準の18以下とする。排水は施設内で処理し、再利用を図っていく。

 既存施設北側は1級河川渡良瀬川が東西方向に流れ、西側と南側、東側は農地に囲まれている。既存施設の余熱は隣接する農業研修センターへ温水を供給中。新施設稼働後に旧廃棄物処理施設は解体撤去し、跡地は新ストックヤードに活用する。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら