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千葉県官公需適格組合受注促進協議会

「受注機会増大」を要望/地域支える中小企業を代表/官公需適格組合受注促進協が県に

2019/11/20 日刊建設タイムズ

 千葉県官公需適格組合受注促進協議会(中嶋敏夫会長)の正副会長は18日、県庁などを訪ねて「官公需適格組合等の受注機会の増大に関する要望」を行った。要望事項は「官公需適格組合の積極的な活用」をはじめとする8項目。中小企業者や官公需適格組合が官公需の受注を確保していくには「個々の自助努力のみでは自ずと限界がある」(同協議会)とのことから、地域経済を支える中小企業及び官公需適格組合等に対し、十分な官公需確保対策が実施されることを強く訴えたもの。


 新たに災害協定の配慮も


 この日の要望活動には、中嶋会長(千葉県測量設計補償協同組合名誉理事長相談役)をはじめ、副会長の小名木隆満氏(千葉県ビルメンテナンス協同組合相談役)と大杉恒一郎氏(市川市書店協同組合代表理事)が出席。要望先は、県庁の商工労働部経済政策課(入江信明課長)、県土整備部建設・不動産業課(鈴木信行課長)、総務部管財課(鈴木真一課長)と、県自治会館の千葉県市長会(清水聖士会長)と千葉県町村会(岩田利雄会長)。県内には、官公需適格組合とその制度を詳しく知らない自治体もあるとのことから、同協議会では「官公需適格組合をご存じですか?」をタイトルに、市町村等に配付するポスターを作成。この日の陳情活動にも持参した。

 県庁では、入江・経済政策課長、鈴木・建設・不動産業課長、鈴木・管財課長と協議会正副会長が一堂に会し、商工労働部会議室で懇談。この場で各課長に、官公需適格組合等の受注機会の増大に関する要望書を手渡した。


 中小企業元気戦略/官公需の推進が要


 これを受けて入江課長は、昨年策定した第4次千葉中小企業元気戦略の中で、官公需の推進を中小企業支援の大事な政策と位置づけていることに言及。「地域の中で、経済・お金が回っていくというのは、単に受注した企業のみでなく、そこからまた地域にお金が流れ、それが循環するという有効な手段」との考えを示したうえで「県はもとより、市町村とも情報を共有しながら、出来るだけ官公需の率を高めていきたい」と応じた。

 その後、千葉県市長会と千葉県町村会が入る県自治会館に移動した協議会の正副会長は、千葉県市長会次長及び千葉県町村会次長並びに(公財)千葉県市町村振興協会次長の鎗田淳氏、同じく添谷佳子・企画政策課長、築地秀樹・同主幹と懇談。この席で鎗田次長は「我々にとって一番大きな会議である市長会と町村会の1月の第3回定例会に、今回も報告を推薦させて頂く」と述べ、要望書を受け取った。


 少額随意契約の/積極的な活用も


 中小企業・小規模事業者にとって、県下の情勢は依然として厳しく、少子高齢化に伴う人手不足や後継者問題等の大きな課題に直面。その中で、我が国経済を持続的発展の軌道に乗せていくためには、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大を図り、その事業の活性化を図ることが重要とされる。

 県では「中小企業者に対する県の官公需契約の方針」を策定し、県内中小企業者の受注機会の増大のための措置を講じているが、県内の発注者においては、中小企業向け発注額の減少、県外業者の相次ぐ参入等が発生。

 一方、中小企業者で組織する官公需適格組合は、官公需の受注に対して意欲的であり、「受注した契約は十分に責任をもって履行できる経営基盤が整備されている組合である」ことを国が証明。「中小企業者に対する県の官公需契約の方針」の中でも「官公需適格組合等の活用」が明記されている。それにも関わらず、現状では「官公需適格組合を含めた中小企業者の受注機会が十分に確保されているとは言えない状況にある」(同協議会)という。

 このため、地方公共団体等の各発注機関に対し「官公需適格組合制度」のより一層の周知徹底を図るとともに、発注時には「価格のみでなく品質も同等に評価し、官公需適格組合の積極的な活用」を要望したもの。

 また、予算決算及び会計令並びに地方自治法施行令により設けられる「少額随意契約制度」が、発注機関の事務の効率化、迅速性を要する公共施設の維持、ライフラインの保全等に効果的で、地元中小企業や中小企業組合の育成や地域経済の活性化に繋がることから、同制度の積極的な活用も要望。


 最低制限価格制度/導入の働きかけも


 一部の市町村のみの実施にとどまる「低入札価格調査制度及び最低制限価格制度」については、未実施の市町村に対して同制度の導入の働きかけを行うとともに、未だ対象外の官公需特定品目など物品の購入でも早急に同制度を導入し、適正価格での発注に努めることを要望。

 他方、今回から新たに「災害時応援協定を締結している官公需適格組合等に対し、平時から随意契約等の配慮に努めること」を、8つ目の要望事項に加えた。


 8つの要望事項

○官公需適格組合の積極的な活用

○地元中小企業及び中小企業組合の活用推進

○条例等の作成を通じて地方公共団体に対する官公需施策の普及

○少額随意契約の積極的な活用

○分離・分割発注の推進

○価格のみではなく、品質、地域貢献、雇用創出等を総合的に勘案し、受注者を決定する制度の導入

○ダンピング入札を排し、適正価格での発注

○災害時応援協定を締結している官公需適格組合等に対し、平時から随意契約等の配慮


 1.官公需適格組合の積極的な活用を図ること

 官公需適格組合は、受注体制が整備されている旨を中小企業庁が証明した組合であり、県の官公需契約の方針にも明記されている。

 しかし、地方公共団体等、各発注機関における認識の度合いは低く、その活用は不十分な状況にある。

 ついては、会員自治体に対して、より一層の官公需適格組合制度の周知徹底を図るとともに、発注に当たっては、価格のみを評価するのではなく、品質も同等に評価し、官公需適格組合の積極的な活用を要望する。

 また、指定管理者制度における指定管理者の選定に当たっても、地元中小企業者で構成される官公需適格組合の活用を併せて要望する。


 2.地元中小企業及び中小企業組合の活用推進に努めること

 地元中小企業及び中小企業組合は、地域産業の振興、雇用の創出、ライフラインの整備等、地域経済を支える存在として重要な役割を果たしていることから、地元中小企業及び中小企業組合の地域貢献活動等を積極的に評価し、受注機会の確保に努めることを要望する。


 3.条例等の作成を通じて地方公共団体に対する官公需施策の普及に努めること

 条例や入札規則等において、中小企業者及び中小企業組合の官公需における受注機会の確保を規定するなど、地方公共団体の取り組みの推進を要望する。


 4.少額随意契約の積極的な活用に努めること

 予算決算名及び会計令並びに地方自治法施行令により設けられている少額随意契約制度は、発注機関の事務の効率化、迅速性を要する公共施設の維持、ライフラインの保全等に効果的である上、地元中小企業及び中小企業組合の育成や地域経済の活性化に繋がることから、同制度の積極的な活用を要望する。


 5.分離・分割発注の推進に努めること

 分離・分割発注は、実施方法によってはコスト縮減に繋がるとともに、工事・サービス等納入物件の質的向上を実現するものである。

 ついては、一括発注による発注規模の大型化を避け、きめ細かな分離・分割発注に努め、中小企業者及び中小企業組合の受注機会の増大を図ることを要望する。


 6.価格のみではなく、品質、地域貢献、雇用創出等を総合的に勘案し、受注者を決定する制度の導入に努めること

 公共調達の実施に当たっては、透明性、競争性、公平性の確保が重視されなければならないが、総合評価制度の導入が図られてはいるものの、現状は価格を優先した状況となっている。このため、競争性の導入とあいまって安値の受注が発生し、業界の混乱や中小企業の経営基盤の弱体化を招く結果となっている。

 また、公共調達は地域経済の基盤形成とも深く関連していることから、最終消費者である住民の利益となる品質、安全性、防災、地域社会への貢献、地域雇用の創出等を総合的に勘案して受注者を決定する方式の導入を検討することを要望する。


 7.ダンピング入札を排し、適正価格での発注に努めること

 (1)ダンピング入札の排除措置を講ずること

 県では、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を導入しているが、同制度は一部の市町村しか実施されていないため、未実施の会員自治体に対し、同制度の導入を働きかけることを要望する。

 (2)最低制限価格制度の拡充に努めること

 現在、最低制限価格制度の対象となっていない物品の購入、特に官公需特定品目については、早急に同制度を導入し、適正価格での発注に努めることを要望する。


 8. 災害時応援協定を締結している官公需適格組合等に対し、平時から随意契約等の配慮に努めること

 官公需適格組合等と地方公共団体が災害時応援協定を締結することは、地域住民の安全とライフラインの確保により、被害の拡大を未然に防ぎ、地域公共団体の機能停止を防ぐことができる。

 しかし、災害時応援協定の締結のみに留まり、平時からの発注がないことも一部にみられる。災害時に地方公共団体とスムーズな連携を図り、迅速に災害対応するためには、平時から取引を行うことが重要である。

 会員自治体に対し、被害拡大の防止を図るため、災害時応援協定を締結している官公需適格組合及び地元中小企業に対し、平時からの分離・分割発注、随意契約等の配慮を図ることを要望する。


 千葉県官公需適格組合受注促進協議会会員〔▽組合名(代表者)〕

 【適格組合】

 ▽千葉県石油協同組合(安藤順夫)▽浦安建設協同組合(鹿野新一郎)▽松戸ビル管理業協同組合(関 和秀)▽富津転業土木造園協同組合(佐久間政彦)▽浦安市書店協同組合(小林律文)▽千葉県消防設備協同組合(小寺眞澄)▽千葉県測量設計補償協同組合(石塚 修)▽千葉県害虫防除協同組合(君塚幸申)▽袖ケ浦市測量設計業協同組合(篠田達二)▽千葉県ビルメンテナンス協同組合(小名木敬一)▽千葉県水道管工事協同組合(臼倉 進)▽市原市一般廃棄物処理業協業組合(林 槇也)▽柏市廃棄物処理業協業組合(鈴木 隆)▽柏市再生資源事業協業組合(蛯原勝博)▽市川市書店協同組合(大杉恒一郎)▽千葉県建設防水工事業協同組合(関 正一)▽習志野市管工事協同組合(田村 茂)▽海匝ガス事業協同組合(佐藤 衛)▽船橋市有価物回収協同組合(松本洋一)▽千葉県山林種苗緑化木協同組合(宇井嘉浩)▽千葉印刷団地協同組合(日暮秀一)▽千葉県印刷工業組合(吉田良一)


 【一般組合】

 ▽千葉化学工業薬品協同組合(岡田隆治)▽リフォームちば住宅協同組合(山﨑勝治)

「官公需適格組合制度」の周知を図るため作成したポスター (左から)大杉副会長、小名木副会長、中嶋会長、入江・商工労働部経済政策課長、鈴木・県土整備部建設・不動産業課長、鈴木・総務部管財課長 (左から)大杉副会長、小名木副会長、中嶋会長、鎗田次長、添谷・企画政策課長、築地・同主幹

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