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ルート案4000m級も 新たな御坂トンネル

2019/11/23 山梨建設新聞

 国中、郡内両地域を結ぶ新たな御坂トンネルの建設に向け県は、年度内に概略ルートをまとめる。すでに数多くのルート案が出ており今後コストや利便性、技術的な要素などを踏まえ数案に絞る。ルート案は公表しなければならない決まりはないが、注目度が高い事業のため固まり次第、県議会などに示し、意見を聞く方針だ。

 県道路整備課によると、新たな御坂トンネルは現在のトンネル(新御坂トンネル)より大幅に低い場所に整備し、できるだけ緩やかな勾配でアクセスできるようにする。「走りやすさを考えできるだけ直線的な方がいいが、今の技術では曲線的なものも十分可能」(同課担当)と、ルート設計を担当する建設技術研究所が出した、あらゆる可能性に目を向ける。年度内にルートを決めるため急ピッチで検討作業を進める。

 トンネルの延長は現在の2778mに比べ長くなる見込みで現在挙がっているいずれの案も3000m級。「ルートによっては4000mを超えるものもある」(同担当者)という。5000m以上になると危険物を載せた車が通れないため、それ以下の範囲でルートを取ることになる。ルート案は現トンネルの真下のほか東側、西側と数多く挙がっており、それを数案に絞った段階で公表するか、1案にしてから公表するかは今後検討する。

 同課によると、県が施工したトンネルでは大月市-小菅村間に整備した松姫トンネルが3066mと3000mを超えるものの、4000mクラスはない。このため利便性や時間短縮の効果とコストを総合的に考え、ルートやトンネルの適正規模を決めるという。同課担当者は「今のトンネルが決して走りにくいわけでないし、深刻な混雑もみられない。新しいトンネルを長くし低い場所につくったからといって大幅な時間短縮になるとは考えにくい」と話す。

 新たなトンネルの抗口は、富士河口湖町側については現在の御坂トンネルに最も近い山宮トンネルの北側が有力。急カーブをパスするように国道につなげると予想される。県峡東建設事務所によると、笛吹市側についてはトンネル近くの急勾配と急カーブを超えてから国道につなげる案が考えられるという。

 県ではルート決定後、2020年度も引き続き現地調査を進め21年度以降の事業化を目指す。同課担当者は地元注目の事業だけに「よりスピード感を持って進めていきたい」と意気込んでいる。

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