記事

事業者
茨城県生活文化課

大洗水族館に新館建設/設計プロポ開始

2020/01/29 日本工業経済新聞(茨城版)

 県生活文化課は、アクアワールド県大洗水族館(大洗町磯浜)に集客力がある「ジンベエザメ」を飼育し展示する新館を整備するため、基本・実施設計のプロポーザル手続きを開始した。技術提案のテーマは①展示コンセプト②ゾーニング計画③デザインや見せ方の工夫④既存館を含めた配置計画―など。誘客促進と持続可能な水族館につながる提案を受け付ける。新館の想定延床面積は6700㎡程度。展示水槽は日本最大規模の約8000tを見込む。同時に整備する約900台の立体駐車場(想定延床面積1万1400㎡)の設計も行う。想定事業費は125億円以内(消費税などを含む)。2020年度まで設計を行い、21年度の着工、22年度内の竣工を目指していく。


 設計プロポーザルの参加対象は建築関係建設コンサルタント業務の有資格者。延べ3000㎡以上で展示水槽1000t以上の水族館の新築などの設計元請け実績も求める。ほかに名簿登載の一級建築士が3人以上の一級建築士事務所登録も必要。

 参加表明は2月6日まで。専門分野の技術者資格や業務実績でプロポ提出者を選定し、3月27日までプロポ提出を受け付ける。プロポ審査では資格や技術力に加え、業務実施方針、取組意欲、提案テーマの適格性や独創性、実現性を評価。4月8日にヒアリングを行い、最優秀案と優秀案(次点案)を特定する。最優秀案は原則公表する。履行期間は2020年4月下旬から21年1月下旬まで。

 設計業務は20年度当初予算の成立を前提としており、事前準備手続きとして公示した。

 県では「ひたちなか大洗リゾート構想」の中核施設である大洗水族館に、抜群の集客力があるジンベエザメを展示することにより、誘客促進と地域経済の活性化を図る。

 新館と立体駐車場は、水族館の敷地内(5万7607㎡)で現水族館の南側駐車場(約3万3000㎡)に建設を構想。市街化調整区域で、都市公園区域、自然公園(普通地域)となっている。

 新館の基本諸元は、体長10m程度まで成長するジンベエザメ2頭を生涯飼育できる建物。延床面積は6700㎡程度。展示水槽は約8000tで、予備水槽は別途考慮する。主要な所要室は観覧スペース、水上観覧デッキ、ラウンジ、エントランス、売店、トイレ、職員用準備室(調餌室、ボンベ充てん室、控室、更衣室、浴室、トイレなど)。

 立体駐車場は約900台分(平面部分を含む)とし、隣接する県営駐車場(1100台)と合わせて約2000台を確保する。想定延床面積は約1万1400㎡。

 これらは想定で、予算内で自由な面積、所要室、階数の提案を求める。

 敷地造成、建物建設(水槽、駐車場含む)、機械・電気・取水・浄化槽排水設備、厨房機器、家具、工事監理費などを含めた想定事業費は125億円以内(消費税など含む)。魚代や輸送費以外は全て含まれる。

 技術提案では、ジンベエザメの展示によって新たな魅力向上を図るコンセプトを求める。展示ゾーニングでは既存館の展示も考慮し必要となる水槽や機器、建屋の提案を募る。ろ過機置場が広大になることが予想されるため景観や有効活用、バリアフリー、ユニバーサルデザインへの留意も求める。

 敷地配置計画では、既存水族館の将来建て替えも考慮する。建替場所は隣接する県営駐車場で検討も可能。また既存水族館を運営しながらの新館工事となるため、運営を意識した配置計画、工事計画とする。新館と立駐建設は同時に行えるよう検討する。

 そのほか新館の外観デザイン、内部展示、見せ方の提案も募る。

 現在の大洗水族館は02年3月に新設。SRC造7階建て、延べ1万9853㎡で、水量4140t、展示生物は約580種、6万8000点。そのうちサメの飼育は63種約400匹で日本一。ジンベエザメを展示することでさらなる誘客促進を図る。18年度の来場数は112万人。

 大洗水族館にジンベエザメを展示する施設を整備することについて、大井川和彦知事は「ランドマーク的な施設ができるのでは」と期待。新館整備後の集客数は年間200万人程度を県では目標としている。

 ジンベエザメは熱帯や亜熱帯、温帯の表層海域に分布し、日本では千葉県沖でも捕獲が可能。捕獲時は4m~6mほどで、全長10m~12mまで成長する。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら