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長野県道路管理課

補修と点検一体発注/橋梁MAE活用へ試行検討

2020/04/15 長野建設新聞

 県建設部道路管理課は、橋梁補修工事と橋梁MAE(メンテナンス・アシスタント・エンジニア)による点検業務を組み合わせた試行工事の実施を検討している。民間企業に所属する橋梁MAEの活用機会を創出することにより人材を育成し、直営点検の負担軽減や地域建設企業による橋梁メンテナンス体制の確立につなげる狙い。現在、制度設計中で2020年度内の実施を目指す。

 橋梁MAEは県や建設コンサルタンツ協会長野県連絡協議会、県コンクリート補修・補強協会などで構成する「信州橋梁メンテナンス協議会」が認定・登録する橋梁点検の独自資格。県内に2万2000余りある橋梁の法定点検を支援するため、19年度から資格者の養成を開始している。養成講座では橋長がおおむね10m未満の小規模橋梁の点検技術を習得する。資格の有効期間は4年間で、更新する場合には再度講習を義務付ける。

 試行工事の検討段階における素案によると、補修工事の対象は設計ストックのある橋梁で、補助、単独は問わず、1橋でも可とする。点検業務の対象は補修する橋梁の周辺(道路維持補修JVエリア程度)にあり、職員による直営点検を予定する小規模橋梁を想定している。

 橋梁MAEが行う業務は点検と結果の取りまとめまでとし、判定区分は発注者が決定する。活用する橋梁MAEは自社以外(建設コンサルタント等)も認める。点検の結果、Ⅲ判定(早期措置段階)となった橋梁については、受注者と協議の上、補修工事を実施できることとする。入札方式は受注希望型競争入札、地域要件は当該地域振興局管内本店を想定している。

 橋梁MAEは判定まで行う技術者ではないため、点検業務部分の積算に当たっては標準歩掛を補正。技術者単価を労務単価に置き換える(主任技師および技師A~Cは土木一般世話役、技術員は普通作業員)。

 道路管理課は試行工事による効果として「地域に精通した意欲ある建設企業の橋梁MAEの育成」「点検結果を踏まえた迅速なメンテナンスによる修繕着手率の向上、コスト縮減、長寿命化推進」「発注者の直営点検や入札事務の負担軽減」などを挙げた。

 なお、19年度の養成講座は5~6月に長野市、9~10月に松本市で、それぞれ3日間の日程で開かれたが、20年度については新型コロナウイルス感染症の影響により開催時期は未定となっている。

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