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埼玉県三郷市

三郷市が庁舎耐震化の不調回避へ制約条件の緩和検討

2020/06/03 埼玉建設新聞

 三郷市は、2020年度に発注する「本庁舎耐震補強工事(内部)」と「同工事(内部)その2」の2件が入札不調に終わらないための工夫を練る。2件はいずれも庁舎業務を継続しつつ、利用者の動線にも配慮しなければならない難工事。入札参加を促すため、休日施工などを原則としていた制約条件を受注者側の要望で緩和する検討に入った。7月半ばにも1件目の入札を公告する方向で調整している。

 1983年竣工した現庁舎(花和田648-1)の規模は、SRC造地下1階地上7階建て、延べ床面積1万1768・4㎡。耐震性能が不足していることから、大規模補強に乗り出すことにした。

 耐震補強の対象は1~5階部分。1~3階の工事を7月半ばに発注し、8月上旬の契約締結を目指す。予定工期は11カ月。4~5階部分は21年2月の発注、同3月の契約を見込む。工期は9カ月を予定する。2件とも鉄骨ブレースの構築と、RC壁増し打ちが主な工事内容だ。

 内部補強工事の入札は19年度に不調で終わっている。

 市の担当者は「手狭な空間で、庁舎業務も止めずに行う工事内容に難色を示す企業が多かったのではないか」と分析。着工時期がこれ以上延びれば、非常時の危機管理体制にも影響が出かねないと危機感を募らせる。

 対策として、今回の入札では労務費や資材費などを最新の価格に更新するとともに、施工に当てられる時間帯を前回より融通できないかどうか検討を深める。全体工期は前回とほば変わらない設定のため、平日の施工をどれだけ許容できるかが鍵だ。

 入札前の新たな懸念となっているのが、新型コロナウイルスの感染拡大。庁舎内では現在、3密(密集、密閉、密接)防止の一環として、通常の執務室の人員を減らし、普段は使用しない会議室などに職員を分散させている。このため、施工空間の確保については、困難さが増しているのが現状といえる。

 再発注に向け、市は「庁舎耐震補強工事設計見直し業務」を久米設計(江東区、03-5632-7811)に委託。円滑な施工の検討で詰めの作業を開始する。

内部耐震補強を控えた現庁舎

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