記事

事業者
長野県議会

民間委託に河川・砂防包括を/入札制度研究会が知事要望/県「前向きに検討」、一部工区で試行も

2020/09/11 長野建設新聞

 超党派の県議会議員で組織する県議会入札制度研究会(会長=服部宏昭・自民党県議団顧問)は9日、阿部守一知事へ公共事業や入札制度に関する要望を行った。この中で『道路維持補修業務の民間委託』(以下、民間委託)に河川や砂防も含めるよう求めたのに対し、同席した田下昌志建設部長は「方向性としては一体化することが良いと考えており、前向きに取り組む」と述べ、一部エリアでの試行的な実施に言及した。

 民間委託への河川・砂防の包括については、服部会長が「令和元年東日本台風時の初動において、道路と河川が近接した被災箇所で、河川・砂防の当番業者を優先したため応急対応が遅れた事例があった」と指摘。地域の維持補修を包括的にできるよう要望した。

 これに対し田下建設部長は「東日本台風では河川災害の応急対応をどのように依頼するか悩んだ状況があった。方向性としては一体化することが良いと考えており、メリット・デメリットを整理し検討していきたい。場合によっては、まず一部エリアで試行し、検証しながら新たな制度をつくっていくことも可能だと思う」と述べ、前向きに取り組むことを明言した。

 研究会からの要望はほかに維持補修工事の1件当たりの上限額引き上げ、除雪業務における最低保証制度の導入および経費の見直し、7月豪雨災害復旧のための県単独事業費の確保、国土強靱化予算の継続―の4項目。要望を受け阿部知事は「入札制度に関しては時代の変化と共に見直すべきは見直さなければいけない。基本的には地域を熟知する建設業の皆さんが地域の事業を継続的に担っていける体制をつくることが重要」との考えを示した。

 小規模補修工事の1件当たりの上限額を現在の250万円から500万円程度まで引き上げるよう求めたのに対しては、田下建設部長が「昨年10月に200万円から250万円に引き上げたところであり、すぐには難しい。実施状況を検証していきたい」と回答。

 除雪業務における最低保証制度や機械経費の見直し、待機補償費の充実を求める要望には、「民間委託に除雪を一体化し、さらに複数年の継続契約で対応できないか考えている。待機補償については北と南で状況が大きく異なる。そうした点も踏まえ研究を進める。業界の皆さんと意見交換しながら方向性をつくっていく」と述べた。民間委託への除雪一体化は本年度、全97工区中14工区で試行している。

 また7月豪雨災害の復旧について、国庫補助の対象とならない箇所を県単独事業で手当てできるよう9月補正予算で措置を求めたのに対しては、阿部知事が「国からの予算を最大限活用していくが、対応しきれないものについては県としてしっかりと対応する」と約束。

 国土強靱化3か年緊急対策後の防災・減災予算の継続的な確保については「強靱化予算の継続は、私の願いであるとともに、これまで多くの災害に見舞われた県民の願いであるということを、ことあるごとに国へ要望している」と述べ、今後も同様のスタンスで臨むことを伝えた。

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら