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栃木県鹿沼土木事務所

鹿沼土木事業概要、205カ所に93億投入、思川を改良復旧、久保田橋は上下部工

2020/09/15 日本工業経済新聞(栃木版)

 県鹿沼土木事務所は、2020年度の事業概要をまとめた。繰り越しを含めた事業費総額は205カ所に93億50万5000円を投入。内訳は道路事業が117カ所に52億2050万円、河川・砂防事業は86カ所に34億6190万円、街路事業は2カ所に6億1809万円を配分した。主要事業は1級河川思川災害復旧助成事業、一般県道上永野下永野線久保田橋災害関連事業、一般国道121号天神町、主要地方道鹿沼足尾線布施谷バイパスを推し進める。(2面に主要事業個所)

 【思川】

 昨年10月の台風19号に伴う記録的な豪雨出水では思川の堤防決壊により浸水面積152ha、浸水家屋237戸の甚大な被害が発生。再度災害防止を図るため、柳橋(口粟野)~久野橋(久野)の3200m区間を改良復旧する。総事業費は約23億円。

 堤防を厚くし、川幅を拡幅。流下能力を向上させ、川の流れをスムーズにする。堤防の侵食防止に向け、護岸を張る。河道は掘削し、河道内の樹木はきれいに伐採する。今年度は堤防決壊個所や溢水個所の築堤、護岸、河道を掘削。22年度の完成を目指す。

 【久保田橋】

 1級河川永野川に架かる久保田橋(上永野)は台風19号の増水時に橋脚が沈下し、上流の護岸が崩落した。走行安全性の確保へ向け、19年度から橋の単径間化架け替え、河積拡大や道路の拡幅改良に着手した。総事業費は約2億2000万円。21年度の完成予定。

 計画延長は95m。旧橋の延長は24m。新橋は7・8m延伸し、橋長31・8m。漂流物に影響を受けやすい橋脚は設置しない。幅員は5・5mから7mに拡幅する。河床幅は現況の21・1mから24・2mに拡大する。今年度は仮橋架設、橋梁上下部工。

 【天神町】

 国道121号天神町は交通量が多いにもかかわらず、付加車線のない市役所前の天神町十字路交差点を改良。右折レーンを設け、南北延長380m区間は現況幅員11・5mを15mに拡幅。併せて電線類を地中化し、中心市街地の魅力ある道路空間を創出する。

 JR鹿沼駅~市役所間を結ぶ国道293号は交差点を挟んだ東西間の延長180mが影響範囲。隅切り部以外は現況幅員15mのまま、交差点から駅方面へ向かう東側のみ電線類を地中化する。今年度は用地調査、用地補償が中心。総事業費は約15億円。

 【布施谷バイパス】

 主要地方道鹿沼足尾線布施谷(中粕尾)は幅員が狭く、沿道には家屋が連なる。歩道が未整備で見通しが悪く、交通事故が多発。付近には粕尾保育園、粕尾コミュニティセンター、粕尾小学校が立地する。市中心部と市西部を結ぶ幹線道路の交通利便性を強化する。

 集落南側の延長1700m(幅員10・25m)区間に布施谷バイパスを新設し、十分な幅員、歩道の設置、道路線形を改善する。延長400m区間の農業用水路の付け替え工事、1万3000立方mの路体盛土工事に取り組む。総事業費は約7億円。

 【北赤塚】

 国道352号北赤塚は延長550m(幅員13・5m)区間のうち北方向に350mの両側歩道を設置し、東西方向200mは交差点を改良する。主要地方道宇都宮亀和田栃木線北赤塚十字路交差点の周辺部が対象。今年度は用地調査、用地補償。総事業費は約7億円。

 南押原小学校や南押原中学校の通学路に指定されているにもかかわらず、幅員が狭く歩道が未整備。両側に2・5mずつの歩道を設置。北赤塚十字路交差点では4方向への右折レーン(延長60m)を設け、直進や左折車両が滞留しないよう改良する。

 【下沢南】

 主要地方道鹿沼日光線下沢南は上日向~下沢間の延長960mに歩道を整備する。西小学校の通学路にもかかわらず、屈曲個所が多く交差点には付加車線が未設置。市の通学路交通安全プログラムでは要対策個所に組み込まれている。総事業費は約5億円。

 現況幅員6・65mを10mに拡幅し、片側歩道2・5m、路肩0・75m×2、車道3m×2に改良。併せて線形改善と交差点を改良し、歩行者の安全を確保する。今年度は用地補償と道路改良工事。22年度の完成予定。

 【口粟野】

 一般県道草久粟野線口粟野は、延長900m(幅員10・25m)区間に片側歩道を整備する。一般県道下日向粟野線終点側交差点影響部を起点とし、1級河川粟野川に架設された横町橋右岸部を終点とする。ほぼ中間地点に粟野コミュニティセンターが立地する。

 北東方向には粟野第1小学校があり、児童たちは草久粟野線を避けて登校している。通学路に指定できない状態のため、地元の「粟野地区土木事業期成同盟会」から歩道整備の要望が出されている。今年度は用地調査、用地補償。総事業費は約7億円。

 【楡木バイパス】

 国道293号楡木バイパスは上殿町~下奈良部町間の延長2300m、幅員23・5mで計画。東北自動車道に接続する栃木市の都賀西方スマートIC乗降路線だけに事業効果が大きい。今年度は改良工事、舗装工事、安全施設工事を済ませ、21年春に開通させる。

 【小藪川】

 1級河川小藪川は国の「床上浸水対策特別緊急事業」に採択され、河川断面を拡幅中。上流部は市街化の進展により河川への流出量が増大。県、市、地元4町が「小藪川上流域総合治水対策協議会」を設置し、県河川事業と市下水道事業の連携による対策を実施。

 西鹿沼工区は、富士見橋~東武交差部間の延長350m(幅員4・2m)は今年度が調整池築造工事。東武交差部~上流端の延長760m(幅員3・7~4・3m)は今年度が護岸工、橋梁工、東武鉄道施行委託工事。22年度の完成を目指す。

 【馬場上沢】

 砂防施設づくり交付金事業では馬場上沢(上久我)の砂防堰堤や渓流保全対策を講じる。馬場上沢は流域面積0・15平方㎞の土石流危険渓流。1級河川荒井川に合流し、侵食が著しい。付近には地域防災計画に位置付けた避難場所の久我小学校や人家9戸がある。

 渓流内には多くの不安定土砂が堆積し、豪雨出水時の土石流対策が急務。本堤は不透過型コンクリート堰堤。堤長68m、堤高8m。渓流保全工は延長172mにわたり護岸ブロック積み工を施す。今年度は堰堤工、渓流保全工。総事業費は約2億5200万円。

 【板荷5号沢】

 板荷5号沢(板荷)は、流域面積0・06平方㎞の土石流危険渓流。管内最北端の日光市小代境に位置し、一般県道小来川文挾石那田線沿線に立地する板荷中学校北側に当たる。流域内は崩壊土砂が堆積し、豪雨出水時には下流に土砂が流失する恐れがある。

 今年度は管理用道路と堰堤工を施工。管理用道路は延長264・9m、幅員3m。本堤は透過型コンクリート堰堤。堤長30m、堤高6・7m規模。渓流保全工は延長177mにわたり護岸ブロック積み工を施す。20年度に完成する。総事業費は約1億4000万円。

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