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県内の防災重点ため池、劣化や地震・豪雨耐性を評価、来年度からの実施を検討

2020/10/16 日本工業経済新聞(栃木版)

 防災重点ため池で劣化状況と地震・豪雨耐性を評価する調査の来年度からの実施が検討されている。検討対象は県内225カ所の防災重点ため池のうち7カ所の農業用ダムを除く218カ所。今月施行の「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」に基づき年度内にも県が防災重点農業用ため池に指定。来年度以降、主に市町が実施主体となった調査が進められる見通し。

 特措法は防災重点農業用ため池の防災工事を今後10年間に集中的、計画的に推進することが目的。防災工事はため池の廃止を含め決壊を防止する工事と規定。堤体のひび割れや沈下、膨らみ、漏水、取水施設などの劣化状況評価、地震・豪雨耐性評価の結果を踏まえ、工事の必要性を判断する。

 防災重点農業用ため池の指定とともに、防災工事を進める基本的な方針や劣化状況評価及び地震・豪雨耐性評価、防災工事の実施に関する事項などを盛り込んだ防災工事等推進計画を策定することも明記。対策工事によって頻発化・激甚化する豪雨や地震に対し、決壊に起因する災害を防止する。

 農業用ため池は市町や土地改良区、水利組合、個人などが管理。県内は527カ所。江戸時代以前から存在しているものもあり、劣化が著しいものや農業者の減少で管理が行き届いていない施設もある。

 県農地整備課では18年の西日本豪雨を踏まえた国の基準に沿って、決壊した際の浸水区域に家屋や公共施設などが存在する225カ所を防災重点ため池として再選定し19年6月に公表。

 このうち赤川ダム(宇都宮市)、塩田調整池(市貝町)、菅又調整池(茂木町)、大郷戸ダム(益子町)、塩田ダム(矢板市)、千振ダム(那須町)、矢の目ダム(同)を除いた218カ所をベースに防災重点農業用ため池を指定する方針。

 推進にあたっては、事業主体となる市町や土地改良区などの関係者と合意形成を図りながら実施について検討を進めていく。調査や対策工事は国の補助金活用を想定。過去に機能診断や耐震診断を行った施設はその成果を活用する考え。

 特措法では策定した推進計画に基づく事業について国が財政上の措置を講じ、都道府県は実施者に対して技術的な指導や援助に努めることを要請。土地改良事業団体連合会に必要な協力(ため池サポートセンター)を求めることができる。

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