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茨城県常総市

来年度から建屋工/アグリサイエンスバレー事業

2020/10/21 日本工業経済新聞(茨城版)

 官民連携で進める常総市のアグリサイエンスバレー事業は、来年度から企業立地ゾーンで建屋の建設工事が本格化しそうだ。先行して造成を済ませた北側から着工する見通しで、進出する企業については現段階で非公表としながらも、食品流通関係の企業から引き合いがあるという。戸田建設㈱が土地区画整理事業の業務代行者として事業を担当している。

 同事業は首都圏中央連絡自動車道の常総インターチェンジ周辺約45haに、地域農業の核となる産業団地の形成を図るもの。企業立地や集客、観光農園ゾーンの「都市エリア」、観光農園や大規模施設園芸ゾーンの「農地エリア」を構築する。

 都市エリアは約31haで企業立地(約19ha)、集客(約4ha)、都市公園(約1ha)にゾーニングされている。企業立地ゾーンでは敷地全体の造成工事のめどが立ったことから、順次建屋の工事に着手する。市によると「3~4者の企業誘致を想定」しているという。

 集客施設は道の駅や民間施設の設置を計画。このうち市が行う道の駅は敷地面積約2haに、延べ床面積約2000㎡の施設や230台収容の駐車場の整備を見込む。

 内部には農産物直売所やレストラン、防災機能などを備える。本年度内の履行期間でAIS・須藤隆・景観設計共同体が設計業務をまとめており、来年度に補助金申請などの手続きに取り掛かり、2022年度の着工を予定している。

 道の駅に隣接する民間集客施設は、戸田建設が担当。道の駅との相乗効果が期待できる施設を検討しており、22年度の着工を目指す。外観は道の駅と一体的なデザインを考えている。

 農地エリアでは年度内で、水田から畑地への転用や土地改良工事を完了させる。約10haを占める大規模農園施設園芸ゾーンのうち約7haを㈱たねまき常総(常総市)が、国内最大級のミニトマト栽培施設となる大型の鉄骨ハウスを建設する。すでに1haで試験栽培を始めており、来年度から7haまで拡張する工事に入る。残る3haは、別の企業と誘致に向けて協議を進めている。

 観光農園ゾーンは、敷地面積約4haのうち、約3・4haが㈲大地(常総市)で、いちご狩り農園を整備する。下妻市で運営している農園を移転新築する。残る約0・6haは他の企業に誘致する計画。

 市では常総IC周辺に農業生産エリアと産業団地エリアを集積し、生産、加工、流通・販売が一体となった地域農業の核となる産業団地を形成し、市の基幹産業である農業を活かしたまちづくりを構想している。



【図=アグリサイエンスバレー事業 完成予想図】

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