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山梨県甲斐市

緑化センターは公園に 保坂武甲斐市長インタビュー

2020/11/13 山梨建設新聞

 9月の市長選では“グータッチ"で選挙活動に奔走。政治家としての豊富な経験と市政における実績をアピールし、見事再選を果たした。保坂武甲斐市長(75歳)。コロナ禍という特殊な状況の中、市初の選挙戦を戦った。3密の回避に苦慮した選挙活動、市政課題である豪雨災害への対応、緑化センター跡地、バイオマス発電の展望を本紙に語った。


 選挙戦に挑もうというタイミングでの新型コロナウイルスの感染拡大。集会・講演などが制限される中、選挙活動も縮小を余儀なくされた。

 「4年に1度は選挙があるものと常々思っているし、そもそも選挙は好きな方。ただ今回はコロナ禍ということで、事務所の開所式はなし、出陣式は縮小、決起大会も中止となった。市民とふれあうにも握手はできないから、代わりに“グータッチ"。1日1万歩、最後の方は1万4500歩ほど走り回り、今でも体の節々に痛みが残っている」。

 コロナの影響は県緑化センター跡地に計画していた「フラワーパークアンドミュージアム」の整備事業にも及び、計画の白紙撤回に至った。

 「新型コロナの対策に注力すべきと判断し、計画を白紙にした。センター跡地は今後都市公園とする方向で、市民アンケートを行うなどして内容を検討する。県管理のときは、センターの維持に年間数千万円ほど掛かっていた。新たな公園は現在ある緑を生かすことはもちろんだが、維持費を縮減するため、商業的な要素を盛り込むことも検討したい」。

 さらにコロナは甲斐市バイオマス産業都市構想の核となる、木質バイオマス発電事業も大きく狂わせる。事業主体の日立造船が、燃料調達先の業者の倒産により事業からの撤退を決めた。

 「バイオマスは計画が二転三転し、厳しい状況だ。ただ日立造船から紹介を受けた事業者グループが、計画を引き継ぐということで手を挙げている。今、事業者の実効性などを慎重に精査しているところ。事業はそのまま継続できると思っている」。

 防災対策としては河川の氾濫対策に注力する考え。近く国、県などと研究会を立ち上げ、有効な対策実施に向けた動きを活発化させる。

 「甲斐市の西側を流れる釜無川の再生が課題。塩川や御勅使川との合流点でもあるため、水害が懸念される。土砂がたまり河床が上がってきているため、しゅんせつや改良が必要。12月上旬にも国、県、山梨大と『令和の治水構想研究会』を立ち上げ、治水対策に一層注力していくつもりだ」。

 道路事業では、県道田富町敷島線、茅ヶ岳東部広域農道、新山梨環状道路の整備促進に引き続き取り組む。

 「県事業ではあるが、田富町敷島線は早期開通が期待されるところ。国道20号へのアクセスが良くなり、市役所前の渋滞緩和にもつながる。茅ヶ岳東部広域農道については、亀沢大橋までで止まっているため、その先の早期整備にまい進する。併せて昇仙峡ラインの拡幅、桜橋の架け替えなどを進め、昇仙峡へのアクセス性の向上を図りたい」。

 市の建設事業は「新設」から「既存ストックの長寿命化」へとシフトしている。そうした中でも地域の安全を守る建設業者の重要性を認識し、育成に向けた有効な施策を考えていくべきと力を込めた。

 「厳しい財政状況の中、建設事業においては、既存のものを補修して長く使おうという方向にある。ただ建設業では、担い手の減少、高齢化など多くの問題を抱えている。本市の建設・土木行政に必要不可欠な地域の建設業を育成する意味でも、必要な事業は計画していかなければならない」。


保坂武。甲斐市(旧竜王町)生まれの75歳。竜王町議会議員、県議会議員、衆院議員などを歴任。市初の選挙戦となった9月の甲斐市長選で4回目となる当選を果たした。4期目のテーマは「恩返し」。親や友人、師、これまで支えてくれた全ての人に恩返ししたいと語る。

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