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県土木施工管理技士会の土木の日講演会で激励相次ぐ

2020/11/24 埼玉建設新聞

地域を守る自覚新たに


 17日に蓮田市内で開かれた埼玉県土木施工管理技士会主催の「土木の日(11月18日)記念講演会」。世界的なコロカ禍が依然続く中、社会資本整備の関係各者から地域建設業への激励が相次いだ。約300人が参加し、国土を守る担い手としての自覚を新たにした。

 「県内建設業は重要な存在。今後も担い手確保に取り組んでいく」。県土整備部から招かれた、田中勝也杉戸県土整備事務所長は来賓のあいさつで地域建設業の健全な発展をサポートする姿勢を示した。

 現場の生産性向上や長時間労働の是正など業界を取り巻く課題はさまざま。その解決に向けた発注者側の責務として田中所長は「発注・施工時期の平準化、ICT活用、週休2日の普及などを進める」方針を改めて強調した。

 先行き不透明な経済状況を踏まえ、管内主要事業の見通しについても説明。「中川の幸手放水路、中川・姫宮落川の河道整備のほか、JR東北線古利根橋梁の架け替え、幸手境線バイパスの早期開通、行田蓮田線の歩道整備などを推進する」と述べた。

 今後の制度改正について触れたのが全国土木施工管理技士会連合会の小林正典専務理事。監理技術者の専任義務の緩和などを周知した。「技士会の強みは現場を熟知していること。その上で最新の技術を習得し、インフラ整備に一層貢献してもらいたい」と小林専務理事は呼び掛けた。

 埼玉県建設業協会の関係者も新たな技術の研さん、働き方改革の推進などでの一致団結を訴えた。十分な休暇と給料、そして希望も持てる産業への転換加速に期待を寄せた。現在まで深刻な感染拡大を引き起こしていない建設業界の対応についても言及し、引き続き緊張感を持つことを求めた。

 松本泰典会長は「土木施工管理技士には国土づくりに貢献する重大な役割がある」と力を込めた。担い手の不足に高齢化、処遇改善などの課題を抱え、さらにコロナ禍が加わる厳しいときではあるが「地域の守り手としての自信を持ちたい」と話した。


 ■専門知識を学ぶ


 講演会でまず登壇したのは、関東地方整備局企画部の藤田正技術調整管理官。建設現場の生産性を向上させるi-Constructionを巡り、ICT施工の最新情報などを解説した。

 整備局では地域建設業へのICT普及に向け、3D(3次元)データの活用項目を柔軟に選択できる「簡易型ICT活用工事」を20年度から実施している。さらに受発注者のコミュニケーション強化のため、ICTアドバイザー制度やICTメールセンターを運用。発注者のアドバイスを受けられる3Dチャレンジ型工事の試行にも力を入れている。

 藤田氏はこのほかBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の試行状況、コロナ禍の施工体制、現状の入札契約制度などについても紹介した。

 続いて講演した気象庁熊谷地方気象台の由比栄造次長は風水害のメカニズム、災害発生時に現れる心理などを解説。気象のプロとして「命を守る準備を心掛けてほしい」との思いを伝えた。

 講演後、県土木施工管理技士会の山口勝技術顧問は「今回の内容を今後の業務にも役立ててもらいたい」と参加者に呼び掛けた。

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