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【21年地価公示】全国全用途平均が6年ぶりに下落

2021/03/24 本社配信

 国土交通省が公表した2021年地価公示結果によると、全国平均は全用途で6年ぶり、住宅地で5年ぶり、商業地では7年ぶりに下落となった。新型コロナウイルス感染症の影響などもあって地価は全体的に弱含みとなっているが、地価動向の変化の程度は用途や地域によって異なっている。

 変動の主な要因のうち、住宅地は、取引の減少、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となったことなどを背景に、全体的に需要は弱含みとなった。中心部の希少性の高い住宅地や交通利便性に優れた近郊の住宅地で上昇が続いているが、昨年よりも上昇が見られる地域の範囲が狭まった。地方四都市をはじめとする地方圏の主要都市では上昇の継続が見られるなど、昨年からの変動率の変化が比較的小さかった。

 商業地に関しては、店舗やホテルの需要が減り、先行き不透明感もあって全体的な需要は弱含みに。特に国内外の来訪客増加による需要でこれまで上昇してきた地域や飲食店が集中する地域では、比較的大きな下落だった。

 三大都市圏を見ると、全用途平均・商業地は全ての圏域で8年ぶりに下落へ転じた。住宅地は東京圏が8年ぶり、大阪圏が7年ぶり、名古屋圏が9年ぶりに下落した。

 地方圏でも全用途平均・商業地が4年ぶり、住宅地は3年ぶりに下落に転じている。

 工業地についてはインターネット通販の拡大に伴う大型物流施設用地の需要が強く、適地となる工業地では上昇している地点が目立つ。その他の工業地では、コロナの影響による設備投資の縮小を背景に下落となっている地点が多い。

 ※地価動向は表参照


◎不動産協会・菰田正信理事長「経済活動の着実な回復が重要」


 昨年前半の経済の大幅な落ち込みから、各種政策の効果により後半には持ち直しの動きがみられたことなどが反映されたものと受け止めている。足元のわが国経済は、依然として非常に厳しい状態にあり、とりわけ企業業績のばらつきや、個人消費、雇用にも弱さがみられ、先行きも不透明な状況。感染防止策を徹底しながら、経済活動を着実に回復させていくことが重要だ。

 コロナの早期終息に加え、アフターコロナも見据え、次の成長の原動力である脱炭素やDX、国土強靱化等につながる設備投資、内需の柱である住宅投資の促進など、持続的で力強い成長を実現する環境を整備し、必要な施策を講じていくことが求められる。

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