記事

事業者
国土交通省

【河川機械設備】異業種連携で量産型の排水ポンプ開発へ

2021/04/20 本社配信

 国土交通省は19日、マスプロダクツ型排水ポンプ実証試験の共同実施に関する基本協定締結の調印式を開催した。河川ポンプ等の河川機械設備の老朽化などが懸念される中、今後の在り方検討に向けた実証試験を行うに当たり、自動車メーカーとポンプメーカーが初の異業種連携を行うもので、5社が参加する。実証試験は来年1月から土木研究所(茨城県つくば市)で開始する。

 赤羽一嘉大臣は「河川機械整備に係る大更新時代の到来への対応が求められる中、従来の考え方からパラダイムシフトを図った上で、更新・整備を加速させることが大変重要な課題と考えている。このイノベーション(技術革新)を促進し、大幅なライフサイクルコストの縮減とメンテナンス性の向上を目指すことは、排水ポンプの新設・増設を望む多くの地域の期待に応え、安全・安心な地域づくりに大きく寄与するものと強く確信する」と述べた。

 今回、国交省と基本協定を結んだのは、▽三菱自動車工業▽豊田自動織機▽三菱ふそうトラック・バス▽荏原製作所▽電業社機械製作所。調印後、各社は社会貢献の観点から参加を決めたと話し、より良い製品の開発に意欲を示した。

 低平地の洪水を排水し、水害を防ぐ河川ポンプ施設は、国管理で444施設、都道府県管理で419施設、ポンプは約2300台ある。総排水量は毎秒約1万立方mで、約2分で東京ドームが満杯になる。高度経済成長期以降に設置された施設が多く、設置から40年が経過する施設は2~3割だが、10年後には4~5割に増加し、老朽化が加速する見込み。近年は気候変動により豪雨災害が激甚化・頻発化しており、地方自治体からも内水排水ポンプの増強等を求める声が高まっている。

 国交省では、河川ポンプ施設の一斉更新が必要となる大更新時代の到来を見据え、大幅なライフサイクルコストの縮減とメンテナンス性に優れた量産型の車両用エンジン(マスプロダクツ)を転用した新たな排水ポンプの開発を計画。実証試験を通じて、エンジン、減速機、ポンプのコスト縮減の可能性を探るほか、実証試験で見えてきた課題等を踏まえて、導入に向けた指針を策定する。


【写真=基本協定調印後に6者で記念撮影を行った】

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら