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栃木県足利市

足利市新斎場、22年2月に入札公告、9月補正で工事費計上

2021/04/28 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、新斎場整備事業(新山町12-3)の設計方針に基づく平面計画をまとめた。公設公営の全面改築とし、全体工期は24カ月を想定。仮設棟新設に4カ月、既存斎場解体撤去に3カ月、新斎場建設に15カ月、仮設棟解体撤去と外構に2カ月を見込んでいる。延べ床面積は仮設棟約700平方m、新斎場約2500平方m。2022年2月に入札公告し、年度内に着工。24年度の供用開始を目指す。今年度は市議会9月定例会に建設工事費の補正予算案を上程の見通し。

 基本方針は①告別・収骨室を個別化し、コンパクトな動線②火葬棟は敷地南側に建設し、周辺住民の心情に配慮③待合室の全ては袋川の桜並木が眺められる位置に配置④式場は40人収容を基本に、最大100人を収容⑤新型コロナウイルス感染症に対応。

 仮設棟は敷地西側の駐車場に建設。火葬棟は火葬炉3基、炉機械室、告別・収骨室2部屋(各52・8平方m)、その他。待合棟は待合室4部屋(各47・3平方m)、ホール、事務室、売店、トイレほか。仮設棟は現斎場と同様、1日最大火葬件数9件を維持する。

 新斎場は①火葬棟②待合棟③式場棟-の3棟で構成。火葬棟はRC造2階建てで、2階部分は集塵機械室(255・3平方m)。待合棟と式場棟は構造を検討中。内装は木質化し、温かみのある諸室を配置。待合棟には中庭を設け、自然採光を取り入れるガラス張り。

 火葬棟は火葬炉6基、炉機械室、告別・収骨室3部屋(各52・8平方m)、その他。待合棟は40人収容の待合室5部屋(各53・2平方m)、ロビー(327・85平方m)、事務室(71・4平方m)、キッズルーム、授乳室、更衣室、売店、トイレ、その他。

 式場棟は式場1部屋(70・5平方m)、大人数の場合は隣接倉庫(31・5平方m)の仕切りを外す。ロビー(48・75平方m)、待合室1部屋(42・9平方m)、遺族控室1部屋、導師控室1部屋、霊安室1部屋(10・85平方m)、トイレ、その他。

 将来の火葬需要に対応し、1日の最大火葬件数は12件に増やす。告別・収骨室は火葬炉2炉につき1室となるだけに、2葬家が交代で使用する。人生終焉の場にふさわしいよう葬家のプライバシーに配慮し、需要の多い時間帯の火葬受け入れに努めていく。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、大勢の参列者を避けた家族葬の需要が急増。特に通夜なし告別式のみの1日葬が目立つ。近親者によるお別れが増えている傾向を踏まえ、式場の大小を変更できるよう設計。出入り口の動線は別々とする方向。

 基本・実施設計は20~21年度の2カ年間でフケタ設計(宇都宮市)が手掛ける。設計以外は地質調査、測量調査、アスベスト分析調査、ダイオキシン類測定一式。火葬炉設備設置工事は20年12月末に宮本工業所(富山市)と契約を締結した。

 火葬炉はメーカーごとに仕様や能力が異なり、設計を進める上で建物の空間構成に大きな影響を与える。設計段階で設備業者を選定し、速やかに建設工事に移行する。宮本工業所の提案した維持管理手法、環境性、緊急時対応といった内容を斎場全体に反映する。

 市は20年12月補正予算で21~24年度の4カ年にわたる新斎場火葬炉設備設置工事の債務負担行為3億5370万円を設定済み。全体工期は発注形態や地盤状況により変更となる可能性がある。施設運営は事務を効率化し、維持管理運営費を削減する。

 火葬場は休止できない施設であり、仮設炉や仮設待合を設置することを前提に計画立案。仮設棟は約1年半の運営となり、待合室の1部屋を告別式会場に開放する。改築期間中は敷地南側隣接地の新山団地公園内に臨時駐車場を設け、進入路と退出路を区分する。

 市斎場は1976年の供用開始以来、築45年が経過。敷地面積は9780・24平方m(建物敷地4692・53平方m、駐車場5087・71平方m)。建物はRC造平屋建て建築面積1741・75平方m。建物や設備の経年劣化が進み、多くの問題に直面する。

 国道293号、主要地方道足利環状線に近接。JR足利駅から2・1㎞、東武足利市駅から2・7㎞に位置。交通利便性が高く、市内各地区からのアクセスは自動車利用で約30分。東側は風致地区指定の山林、北側は袋川が流れ、地形的に人目に触れにくい。

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