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県体育館解体準備へ、今年度にアスベスト調査、プール館オイルタンクを解体

2021/05/18 日本工業経済新聞(栃木版)

 2022年の第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」主会場となる宇都宮市の総合スポーツゾーン整備事業(西川田地区、71・1ha)の進捗を踏まえ、県教育委員会は役目を終える県体育館エリア(中戸祭1丁目、3・4ha)の解体に向けた準備に着手する。当初予算では本館、別館、プール館、武道館、弓道場のアスベスト含有量調査委託約1800万円、プール館オイルタンク解体工事約800万円、備品廃棄委託約1000万円を配分した。年度内に委託や工事を済ませ、本格的な解体撤去工事に備える。

 総合スポーツゾーンは総合運動公園(50ha)を拡張し、中央エリアに武道館と弓道場を新築、北エリアにスタジアムを新築、東エリアに体育館と屋内水泳場を新築。既存のサッカー・ラグビー場、硬式野球場、陸上競技場、合宿場は改修した。

 県体育館エリアの各施設は総合スポーツゾーンの新築施設の供用開始に併せ、機能を全面的に移転する。武道館は19年度、本館、別館、プール館は各20年度で廃止。弓道場は総合スポーツゾーンの遠的場の完成を待ち、21年度末に廃止を予定している。

 本館と別館は1965年、プール館は73年、武道館は77年、弓道の近的場は77年、遠的場は79年に開設。各施設は築42~56年が経過。老朽化の進行や現行の国体競技施設基準を満たしておらず、大規模大会の開催が困難な状況。

 1975年に含有率5%を超えるアスベスト施工が原則禁止。それ以前の建物は使用が認められていた。安価な上に耐火性、断熱性、防音性に優れ、丈夫で変化しにくい特性から多くの建築用途に使用されてきた。ただし経年劣化や解体時に飛散するのが難点。

 空気中に浮遊したアスベストを吸い込むと長期間にわたり体内に潜伏し、重い病気を発症する恐れがある。人体に及ぼす影響が深刻なため、近年は老朽建物解体前のアスベスト含有量調査が定着しつつある。健康被害を未然に防ぐ対策を講じ、撤去作業に入る。

 本館はSRC造ダイヤモンドシェル構造2階建て延べ6069・33平方m(1階4183・35平方m、2階1885・98平方m)。天井高16m。別館はRC造2階建て延べ1154・07平方m(1階520・2平方m、2階633・87平方m)。

 屋内温水のプール館はSRC造一部2階建て延べ1988・7平方m(1階1839・64平方m、2階144・06平方m)。大プール(25m7コース、水深1・15~1・3m)、小プール(15m×10m、水深0・7~0・8m)。2階に40人収容の会議室。

 武道館はRC一部S造2階建て延べ2092・23平方m(1階754・56平方m、2階1337・67平方m)。2階道場は829・44平方mで、柔道、剣道とも各4面を確保。観覧席は400席。1階は大小会議室、男女更衣室、男女トイレ、師範室。

 近的場は軽量鉄骨造平屋建て延べ251・9平方m(射場棟198・45平方m、的場棟53・45平方m)。射場は8人立ち131・22平方m。遠的場はS造平屋建て延べ211・41平方m。射場は6人立ち87・48平方m、巻き藁射場94・77平方m。

 プール館地下にはオイルタンクがあり、隣接する武道館にも熱供給。解体撤去に約800万円を見込んだ。既存の競技用備品や事務用什器はスポーツゾーン整備で新調するため、不要となる。大量の不用品は解体撤去工事開始に備え、廃棄処分する。

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