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全国知事会議、強靱化予算 安定確保を、国産木材需要拡大も提言

2021/06/12 日本工業経済新聞(栃木版)

 全国知事会議が10日、国への施策・予算に関する提案要望を議題に開かれた。国土強靱化の加速と高規格道路ネットワークの強化といった地方創生回廊の構築、脱炭素社会や国産木材需要拡大に向けた国への提言などを協議した。

 国土強靭化の加速は自然災害が頻発化・激甚化するなか、5か年加速化対策を計画的に進める必要性を指摘。気候変動を踏まえた流域治水対策、切迫する大規模地震発生に備えた地震・津波対策、長寿命化計画に基づくインフラ老朽化対策など事前防災と減災のための強靱化に向け、都道府県はもとより市町村でも地域計画に基づく取り組みが実施できる予算を当初予算に継続的かつ安定的に確保するよう提言。

 また、地方への分散化などポストコロナを念頭に地方創生回廊を構築し、地域間格差の是正や分散を支える多核連携型の基盤づくりを進めることが必要とし、高規格道路のミッシングリンク解消、暫定2車線区間の4車線化を進めることを要望した。

 脱炭素社会の実現では、断熱・高気密住宅の普及加速や公共施設、社会福祉施設、商業ビルなど建築物の早期ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の優遇税制や財政措置を要望。新築住宅は再エネ導入を要件としたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の早期適合義務化を求めた。

 国産木材の需要拡大は民間、公共建築物の木造木質化の推進、木塀設置への支援制度とともに、森林資源の循環利用を促す施策を要望。

 新たな国産木材の需要創出に関しては民間非住宅建築物の木造木質化を推進するため、JAS構造材の流通量拡大、CLTや集成材などの中高層建築物への活用に向けた設計・施工技術の確立、建築士の育成、税制優遇措置の創設を提言。

 また、国産木材を活用した構造物基礎などの工事資材、防護柵や型枠用合板、看板などの工事関連資材の公共土木事業での利用、工事における国産木材の活用を評価する仕組みの検討、土木分野での木製品開発への支援などを求めた。

 会議はウェブ形式で福田富一知事らが出席。国の概算要求に向けた提言、施策・予算に関する要望のほか、新型コロナに関する課題や大規模災害への対応力強化などについて話し合われた。

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