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栃木県足利市

足利市、新クリーンセンター 24年度から設計・施工、22年度に事業者公募

2021/11/30 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、一般廃棄物処理施設「新クリーンセンター」(野田町)の施設規模や事業スケジュールを見直した。用地交渉に時間を要しており、全体の事業期間を延伸する。2022年度に事業者選定の入札を公告し、23年度に事業者を決定。24年度から設計・施工に着手し、27年度末の新施設稼働開始を目指す。28~29年度の2カ年間で既存の南部クリーンセンターを解体撤去し、30~31年度で解体跡地にストックヤードを建設する。新たに容器包装プラスチックの分別回収を加え、年間1826㌧を再資源化する。

 市は7月、一般廃棄物処理基本計画第3期計画(21~35年度)を策定。政府は国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)を受け、プラスチック資源循環戦略で原則プラスチック製品の100%リユース・リサイクル方針を打ち出した。

 19年度の基本計画では、容器包装プラスチックの分別回収は予定していなかった。分別再資源化を休止する自治体が散見することが影響した。新施設稼働を契機に、容器包装プラスチックの分別収集と再資源化を開始する。時代の要請に応じ、計画を改定した。

 現施設北側は1級河川渡良瀬川が東西方向に流れ、西側と南側、東側は農地に囲まれている。既存施設の敷地面積はクリーンセンターが1・5ha、地域還元施設(農業研修センター、運動場)が1・2haの計2・7ha。東側隣接地を買い増し5・7haの広さとする。

 燃焼・溶融設備は①ストーカ式焼却炉②流動床式ガス化溶融炉③シャフト式ガス化溶融炉-の3方式から選択。多くの設備業者が参加できるよう市は焼却処理方式を決めないまま入札公告の方針。競争性を高め、20年間の運営期間を担保できる業者を選定する。

 事業手法はPFI等導入可能性調査の結果、市初のDBO方式を採用。市が資金を調達し、施設の設計・施工・運営を民間事業者に包括的に委託。民間事業者は市内に特別目的会社(SPC)を設立し、特定事業に専念する。概算事業費は306億円を見込んだ。

 焼却施設(エネルギー回収型廃棄物処理施設)、マテリアルリサイクル推進施設(リサイクル施設、ストックヤード)、余熱体験施設(入浴施設、温水プール、民間事業者からの提案施設)で構成。整備費は国の循環型社会形成推進交付金を導入する。

 20年度は整備・運営の事業者選定支援をエイト日本技術開発に委託。業務は新焼却施設の整備方針検討、余熱体験施設の整備方針検討、参考見積もり仕様書作成、実施方針作成、特定事業の選定、事業者選定説明書作成、要求水準書作成、建設業者募集・選定。

 焼却施設の年間処理量は旧計画4万3722㌧、新計画4万792㌧(2930㌧減)。リサイクル施設の年間処理量は旧計画3245㌧、新計画3406㌧(161㌧増)。容器包装プラスチックの年間処理量は1826㌧(皆増)を追加する。

 焼却施設、リサイクル施設、余熱体験施設は階高や柱割、工期が異なるため、3棟別棟の方向。耐震性は構造体Ⅱ類(重要度係数1・25)、建築非構造部材A類、設備甲類。建築物は地盤条件に応じた基礎構造。杭打ちは荷重条件や地質条件を考慮する。

 計画地は市景観計画で「田園的景観ゾーン」に区分。周辺環境に溶け込み、圧迫感のないデザインとする。敷地は東西に長く、中心部に建物を配置。前面道路沿いに植栽ゾーンを設ける。外部仕上げは統一性を持たせ、経年変化が少なく耐久性の高い材料を使用。

 既存施設は1983年の供用開始以来、築40年近くが経過。国道50号に面し、経年劣化で建て替えが決まった。費用対効果が高く建設費、運営維持管理費、最終処分費を含めた全体処理コストの低減につながる施設とする。建ぺい率60%、容積率200%。

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