コラム

2002/10/08

入契法のその後(水・YH)

2002.10.08 【入契法のその後】

▼涙を流す理由は人それぞれで、複雑極まりない人間の生理現象だ。24年振りに秋も深まりつつある日本に帰郷した北朝鮮拉致被害者5人が流す涙の深さには、想像を絶するものがあるだろう

▼為政は「仁徳」でなすものと諭したのは孔子である。加えてリーダーは「徳を身につけよ」としている。筆者も含めて耳の痛い人は多いだろう。完璧な人間などいやしないと、逃げ道は多いが、その「不徳」故に決まり事が増える。仕事や生活上で何と約束事が多いことか。かつては聖徳太子が制定した17条の決め事で済んだ。なんと大らかで、人間的か

▼国交省等が平成13年4月施行した「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入契法)の実施状況をまとめた。ご承知の通りこの法律は主に発注者スタンスを決めたものだ。公共工事に絡む社会的な不審を払拭しようという趣旨もある

▼発注見通しの公表や指名参加者・落札者・金額の公表等は90%、等級基準の公表は都道府県で76%市区町村は53%等とし高い数字で履行されているとしている。逆に監視機関の設置等は市区町村等では約90%が未設置。電子入札も試行を含め実施しているのは20機関のみで全体の1%未満。予定価格の公表は全体で3割程度。国レベルの履行率が飛び抜けて高くなっている

▼発表は「前年度に比べ著しく進んでいる」ということだ。しかし全く不誠実な公表をしている機関が逆に目に付いてきたのも事実だ。入札をしているにも関わらず「事実なし」と公表。特殊法人に多く「細事」としているなら問題だ。小さな亀裂が生む後の大きな事件。涙で謝っても済まされない。(水・YH)

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