コラム

2002/10/10

天災と人災のはざま

2002.10.10 【天災と人災のはざま】

▼平均10日前後のささやかだが、お盆休暇による日本民族の大移動も概ね終わり、企業戦士は多分、心身共にリフレッシュ、今ネクタイや制服の感触に気も引き締まる思いだろう。きっと猛暑も加わって、不景気の真っ只中にあることも一時だが忘れていたに違いない

▼今年は大方がそうであろうが、冷房設備がこうまで活躍した記憶がない。いわゆる異常気象ということだが、ヨーロッパでは逆に100年に有るか無いかの洪水で大きな被害が出ている。なんともバランスの悪いこと。しかしこれは天災とばかりは言えない

▼長野県では「脱ダム宣言」が引き金で知事の選挙戦が繰り広げられている。四季折々の豊かな自然に恵まれている日本にとっては古来、治水や治山事業は政(まつりごと)の原則であった。山や野に木々を植え、山や河に堤防を作る。これが民の財産を守る公共事業の根本で、いわゆる民が最も熱望してきた施政であった

▼今年は台風の日本列島上陸が多い。例年であるとこれからが本番である。土砂崩れや洪水に遭うと、我々大人しい日本民族は概ね「天災」という。被災に対する善後策に大いに感謝するのである。防災の政策がなければ「人災」というべきなのだが。「帰省ラッシュ」も人災の一つであることに変わりはない。決して本末転倒ではない

▼「快適で安心の出来る国土づくり」こそ公共事業の根本である。そこを勘違いしている国民が多いことにいらだちを感じる。国は来年度も3%減額するという。これでも少ないという付和雷同な評論家は我々の生活基盤を守る何を持っているのだろうか。無責任にも程があると思う。

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