コラム

2002/11/09

進化を続ける橋(新・KK)

2002.11.09 【進化を続ける橋】

▼普段何気なく利用しているため気が付かないが、橋が我々に与えている恩恵は非常に大きい。日頃頻繁に利用する橋であればあるほど、もしも存在していなかったらと考えた場合にどれだけ重要で必要なものであるかが分かる

▼橋の起源は古い。一説にはBC4000年頃の古代メソポタミア文明の発祥の地で石造アーチ橋が架けられていたとも言われているが、歴史書に正式記録として残っている最古の橋はバビロニアの首都バビロンを流れるユーフラテス川に架設された「木桁橋」だ。紀元前の話である。当時の橋は、橋脚の上に杉の木を渡して架設したもので、盗賊の襲来に備えて夜は取り外していた

▼日本国内で初めて造ったとされる橋は『日本書記』に登場する「猪甘津橋(いかいつのはし)」。場所は、今の大阪市生野区付近で古墳時代に仁徳天皇が架けたとされている。残念ながら詳細な説明が残っていないため橋の形状などは分かっていない

▼仁徳天皇は優れた土木事業家でもあった。当時、権力を集中させるためには河川整備による耕地開発が必要不可欠で、川の開削や堤防の築造まで行っていたとされる。日本最大の古墳である仁徳天皇陵を造らせたことを見ても当時の技術力がいかに進んでいたのかは容易に想像出来る。「猪甘津橋」もおそらく立派な橋だったのであろう

▼現代の橋は、交通手段としての機能面だけでなく、周囲の景観に映えるような美しいデザイン性までが考慮されるようになった。前出のユーフラテス川とは立派な橋が架かった川という意味を持つ。今後、人間と橋との関係がどのように進化して行くのか非常に興味深い。(新・KK)

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