コラム

2002/11/21

驚異・日産自動車(さ・HS)

2002.11.21 【驚異・日産自動車】

▼日産自動車が先に発表した9月中間連結決算によると、売上高は前年同期比10%増の3兆2800億円に達し、本業の営業利益も同84%増の3480億円と過去最高を記録。1994年3月末に2兆8600億円という天文学的な数字であった有利子負債を一気に2740億円まで圧縮し、2003年度中には有利子負債をゼロにするという

▼同社は、カルロス・ゴーン氏の社長就任以来、大胆なリストラとコスト削減を図るとともに、本業の回復のみを視野に入れた固定資産や、他社に先駆け着手した航空・宇宙分野まで売却してしまった。この間、あまり報道されていないが金融・経済関係者をアッと言わしめた取引銀行との持ち合い株まで売ってしまった

▼これまで日本企業と取引銀行間では、互いの株を持ち合う慣行が常識となっている。有利子負債がゼロといわれるトヨタ自動車さえ、この゛業界の常識゛に従っている。しかし、日産自動車のゴーン社長はこれを一掃し、銀行との馴れ合いの取引に一石を投じたのだ

▼ゴーン社長は、株価や土地など本業以外のことで右往左往される事業を完全に廃止し、本業の「車作りにのみ全身全霊を傾ける」という強い姿勢を社員やユーザーに示した。その結果は前述の通りで、いま日産自動車が大量の銀行株を保有していたなら本業以外のことで経営は迷走していたに違いない

▼3年前には100万円の車を売っても1万4、000円にしかならなかったもうけが、いまは10万円以上もうかる体質にまで改善された。本業の業績が回復すれば、経営の危機も必ず突破できるということを立証した。「強い信念」が見える。(さ・HS)

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