コラム

2002/11/23

地元木材の活用を(前・HI)

2002.11.23 【地元木材の活用を】

▼日本の山が荒れている。緑が青々と茂る山を一見すれば、自然豊かな山に見えるが、森林に実際入ってみると、昼間でも薄暗く、足元の下草が枯れている。これは、水源涵養機能が低下し、山崩れが起きやすい状況となっている証拠だ

▼住宅着工統計などを見ても、木造在来工法の需要は依然高いものがあるが、その材料となる木材の約8割は外材という状況だ。外国では熱帯雨林を中心に森林が加速度的に減少しているのに対して、日本の山は使われずに荒れている

▼こうした状況を打破しようと、今、都道府県などの行政を中心に、地元材を使おうという動きが高まっている。利用促進に向けて、多様な施策を展開中だが、その成果もあって、利用者からは地元の木を使って住宅を建てたいという声も増えている。しかし、なぜか地元の原木市場では材が不足している。ある森林組合連合会の関係者の話では「山元をまわって見ても、生産者の意欲が萎えきってしまっている。これは年度当初からの段階的な価格の暴落によるダメージが大きすぎた結果だろう」と言う

▼筆者は過日、地元材の利用促進を図る一環で行政が計画した森林や製材工場の野外講座に参加した。同地は比較的林業が盛んな地で、林業家や森林組合により良く手入れされた優良林分が広がっていた。しかし製材工場で、需要に応じて製材するという高級材のヒノキが山のように積まれていた

▼住宅業界は今、リフォーム分野に積極的に進出している。その中で木材は、リフォームを最も得意とする素材でもある。木材は本来、もっと使われてもいい資源だろう。抜本的な政策が期待される。(前・HI)

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