コラム

2002/11/28

プロ復帰の背景(新・YA)

2002.11.28 【プロ復帰の背景】

▼プロボクサー、辰吉丈一郎が12月15日、大阪府立体育館で復帰戦のリングに上がる。相手は元WBAフライ級王者(現同スーパーフライ級2位)のセーン・ソー・プルンチット。辰吉にとっては3年4か月ぶりのリングである。しかし「辰吉ってまだ引退してなかったの?」というのが正直な感想だろう

▼辰吉は89年にプロデビュー、91年にわずか8戦目にしてWBC世界バンタム級王者を獲得し、絶大な人気を得たが、2度の眼疾を患い世界戦を3連敗。97年、同王座を再奪するも、98年にウィラポンに敗れ防衛失敗、99年のリベンジ戦にも敗退した

▼試合後にジム側は引退を勧告、引退会見を用意。また辰吉のジムへの出入りを禁止し、大阪市内に「辰吉ジム」の開設も準備した。ところが、本人はあくまでも現役続行を希望。1年後にはジムの練習に復帰した

▼限界を何度も叫ばれつつも、再起を目指し続けるアスリート達は少なくない。冷笑を浴び、ぶざまな姿を晒しながらも。彼らを駆り立てるものとは一体何なのだろう。スターのプライド、頂点を極めた者の意地、それとも金や生活のため。しかし、それでも説明できない何かが、そこにはあるようだ

▼今年行われたサッカーワールドカップで優勝、得点王に輝いたブラジル代表のFWロナウドも、右膝の手術から立ち直り、復帰に成功した一人である。彼はワールドカップ開催前、こんなことを言っていた。「もう僕は、皆が期待しているあの『怪物ロナウド』のプレーはできないな・・と実感しているんだ。でもね、それでもやり遂げなくてはいけない、大切なことがあるんだよ」。(新・YA)

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