コラム

2002/12/07

町家の持つ魅力(新・KK)

2002.12.07 【町家の持つ魅力】

▼京都では今、町家めぐりが人気だという。町家とは主に昔の京都には何処にでもあった木造の民家や商人の家のことを指すが、老朽化や市街地再開発に伴う取り壊し等で最近ではめっきり数が減った。そのため、改めて町家の持つ魅力を見直し、有効利用することで建物を保存する動きが活発になっている

▼代表的な町家は「鰻の寝床」と呼ばれ、間口が狭く奥行きが長いのが特徴だ。これは、昔の税金が間口の広さに応じて徴収されていた事や電気のない時代にいかに日光を取り入れるかを工夫した結果、細長い構造になったのだが、今となっては珍しくかつ独特の風情があって面白い

▼最近の京都の町家の活用方法はかなりバラエティに富んでいる。建物をそのまま宿泊施設とする以外に、喫茶店や和食料理店、更にはイタリアンやフレンチのレストランに改修した例まであるから驚く。特に西洋料理店では和と洋、新と旧の融合により非日常的な独特の空間が生み出されているそうで、機会があれば是非訪れてみたい

▼京都に限らず日本全国にはまだまだ町家は残っているが、果たして京都のように様々な活用方法を実践している所はどれ位あるだろうか。町家はどうしても古くて地味なイメージが残るが、発想しだいでは逆に斬新で魅力的なものに成り得る可能性を秘めているのは間違いない

▼町家は普通の民家であるから、よほど立派で価値のある建物でない限り文化財として残ることはない。再利用に成功したケースでもその殆どが取り壊す寸前の建物だったという。これからは町家を単に保存するだけでなく、新しい施設とも調和するまちづくりの発想を期待したい。(新・KK)

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