コラム

2003/01/31

葉隠の神髄に学ぶ(立・YK)

2003.01.31 【葉隠の神髄に学ぶ】

▼政治家の汚職事件は枚挙に暇がないが、実は肥前出身の代議士に贈収賄事件を起こした人はいないという話を思い出した。佐賀県人の潔癖性を評したものだ。佐賀県と聞いて思い浮かべるのは、有田や伊万里などの磁器、吉野ヶ里遺跡などとともに『葉隠』がある。葉隠は知らなくても『武士道とは死ぬことと見つけたり』の言葉を知っている人は多いだろう

▼学生の頃『日本人の倫理観』というテーマでレポートを提出したことがある。先生が20冊程度の書籍を紹介し、学生が好きな本を数冊選び1週間以内にまとめるというもの。その紹介本の1つに三島由紀夫の『葉隠入門』が含まれていた

▼『葉隠』は現在の佐賀県、鍋島藩士の山本常朝による口述を弟子達が書き留めたもので、これを三島が現代語に直し、解説したのが『葉隠入門』。葉隠を有名にしたのは「武士道といふは、死ぬ事と見つけたり」という名文句。しかし、その内容の本質まで理解している人は少ないようだ

▼特に『死ぬことと…』に関しては、後半部が抜け落ちて誤解している場合が多い。後半はこうだ『二つ二つの場にて早く死ぬほうに片付くばかりなり』。訳せば「二者択一を迫られた時、いつ死んでもいい選択をするだけ」となる。即ち武士道とは、いつ死んでもいいように、常日頃から悔いの残らぬように日々を生きるべしということ

▼葉隠は全編どう考え、どう生きるべきかを説いており、思わず唸ってしまうような文言が並んでいる。悔いを残してばかりの日々を送っている筆者にとって『葉隠入門』は時折見返す本でもある。純粋に生きることを、見直されている時代でもあるのだ。(立・YK)

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