コラム

2003/01/18

羊年に思うこと(立・YK)

2003.01.18 【羊年に思うこと】

▼今年の干支は羊。家に届く年賀状にも様々な羊のイラストが  描かれている。どれも皆可愛いらしいものばかり。羊に対するイメージは、虎や龍などが持っているものとは違う柔らかなものだ

▼ところが、高校の林間学校で八ヶ岳に登山に出掛けた時のこと。牛首山から赤岳などを経由し下山の途中に放牧場が広がっていた。柵の近くに生まれたばかりであろう子羊が、こちらを物珍しげに見ている。一緒に歩いていた同級生の女子達は、その愛らしい姿を見て「キャーかわいい」などとはしゃいでいた

▼しかしその時私と一緒に歩いていたオーストラリアの女子留学生が、私に一言「あれはおいしそうだ」。その後、彼女のつたない日本語で羊に関する講義が30分ほど続いた。要約すると「羊は生後4カ月位、草を食べ始める直前で、母乳しか口にしていない状態」が一番おいしいと

▼登山の疲れに、追い打ちを掛けるような彼女の言葉。羊を食料として見る文化の違いをヒシヒシと感じながらの林間学校だった。あまりに彼女の言葉のインパクトが強く、高校の林間学校の印象は彼女の「あれはおいしそうだ」の言葉以外にほとんど残っていない

▼構造改革やグローバルスタンダードといった流れに、最近少し違和感を感じている。苦しみの先が見えない不安のためなのだろうが、それだけではないような気もする。良いところだけを取り入れ、そぐわないものは切り捨て、自分達のものにしてきたのが日本の文化だ。今、不要として切り捨てているものの中に、本来は残しておかなければならないものが隠れている、そんな気がしてならない。(立・YK)

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