コラム

2003/01/25

能楽堂の舞台効果(新・KK)

2003.01.25 【能楽堂の舞台効果】

▼昨年末、新潟の新しい顔となる新潟駅の駅舎と駅前広場の計画提案競技が開催された。市民参加型で行われたこの計画提案競技は、最終審査の内容を一般公開するなど透明性が確保された非常に画期的なものであった。最終審査会場となったのは、市民芸術文化会館内にある能楽堂

▼当日は最終審査に残った各グループが能楽堂の舞台でプレゼンテーションやヒアリングを行い、同じ舞台上で審査委員が公開により審議を行う形をとった。審議内容を全て一般公開する珍しさや能楽堂の持つ独特の雰囲気もあって、会場内は非常に不思議な空間となった

▼古来より正式な能舞台は全て屋外に設置されていたが、近代になって生まれた能楽堂は舞台や観客席を丸ごと建物の中にはめ込む形になっている。最終審査では、各グループが揚幕から登場して橋掛り、後座を通って舞台に上がるという、能楽堂の持つ特徴を生かした能楽さながらのシーンが演出され、良い意味での緊張感を生み出していた

▼ところで、能楽は観客側も観能前の事前勉強で知識を得ている必要があるため、「観客に観るための用意を求める芸能」とも言われている。今回の最終審査も関心のある市民がそれぞれの想いを込めて審査を見守り、かつ審査全体を観賞したことが能楽観賞の様でとても興味深い

▼能を上演する上で主役を含めて最も多くの役を担当するのは「シテ方」と呼ばれ、舞台進行上の様々な役割を果たしている。現在、「シテ方」は観世流を始め5流派。奇しくも最終審査に残ったのが5グループであった。そして最優秀賞のテーマは「人・交通・自然が気持ちよく循環する『都市の庭』」。(新・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら