コラム

2003/02/05

人は石垣、人は城(本・SY)

2003.02.05 【人は石垣、人は城】

▼日本建設業経営協会(北野次登会長)主催の講演会で日本証券経済研究所主任研究員の紺谷典子氏が「これからの建設産業と公共投資」と題するテーマで講演を行った。話の枕の部分に興味深い話がいくつかあったのでご紹介したい

▼「七二の法則」。この法則は預金したお金が何年後に利息で2倍になるかを計算する金融界の基礎知識だそうで、かつての郵便定期預金の利率6%を例にとる。計算は72÷6で12。つまり預けたお金が12年後に2倍になるということ。100万円であれば200万円になる。これは大きい

▼しかし、この6%という数字。現在では夢のまた夢。0・04%なとどいう低利が当然のようになっている。この数字を「七二の法則」で計算すると、1800という答がでる。この数字は、1800年前、邪馬台国の頃であろうか、ある人が100万円預金して、ようやく平成15年の現代に利息で200万円になるということを意味するのだ

▼紺谷氏は日本経済の長期停滞の原因をこういうところに見い出す。預金の利率の問題だけでなく、医療費の自己負担増、年金問題の不透明さなど現在の金融・医療・福祉政策を鋭く批判する。そして、最後に建設産業と公共事業の明日を熱く語った

▼「人は石垣、人は城といいます。建設産業のお城の石垣も表面は大きな石垣で組み立てられていますが、それが堅固であるためには内部に小さな石がしっかり組み込まれていなければいけない。小さな石の支えがなければお城はもろいものです」。小さな石は文字通り業界を支えている中小零細業者である。基幹産業としての誇りを持ちたいものだ。(本・SY)

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