コラム

2003/02/11

届かない国民の悲鳴(水・YH)

2003.02.11 【届かない国民の悲鳴】

▼春の海ひねもすのたりのたりかな(与謝野蕪村)。水戸偕楽園の梅も昨年より21日遅い先週5日開花宣言。ちょっと春の趣だが、まだ風も冷たく蕪村の句にある緩やかな気分になるには未だ早いかも

▼国の補正予算が決まり、幾ばくかの工事が今後発注されるだろうが、地方の末端業者にまで多少の慈雨となるにはほど遠い。当然蓄財などおぼつかないが、総務省が4半期毎に発表している家計調査は面白い。人の懐具合を調査したものだが、昨年7〜9月期で、1世帯(平均年齢53・8歳)の平均貯蓄は1674万円

▼27・1歳で395万円、35・0歳717万円、44・5歳1134万円。情けない話だがこれ以上は忍びない。自らの不甲斐なさを政治や行政に押しつける訳ではないが、遅々として回復しない景気に憤懣やるせないのは今日の平均的国民感情だろうと慰めている

▼こういう数字も先般発表になっている。富士山麓、青木ヶ原樹海での自殺者数だ。山梨県警によると昨年は過去最多の78体になったという。平均して50〜60体。8割が男性。動機はリストラや借金苦が目立っているというのだ。自殺者は誰に何を訴えたかったのだろう。何やら悲痛な声が聞こえて仕方がない

▼「法律を廃止するために会合を持つ人々の集団」。「主義主張の争いという美名のかげに正体をかくしている利害関係の衝突。私の利益のために国事を運営すること」。この解釈は何の用語かお解りになる方は昨今の事情通と言えるのでは。答えは、前者が『国会』後者は『政治』。アメリカのコラムニスト、A・ピアスが1906年に出版した『悪魔の辞書』による。(水・YH)

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