コラム

2003/02/15

今、努力をすること(前・HI)

2003.02.15 【今、努力をすること】

▼「活字離れなどを言い訳にする業界他社と比較されたくない」。躍進を続ける文芸書出版・幻冬舎の見城徹社長が、ジャスダック市場に上場した日、初値が公開価格を約68%も上回る値を付けた後、記者会見での言葉だ

▼出版業界は今、出版不況の煽りを受けて厳しい経営状況が続くが、その中にあって同社はベストセラー連発。新しい企画を次々に事業化、やり方次第では業績を伸ばすことができる証を示し、市場はそれを高く評価した。しかし、この成功の裏には、氏の並々ならぬ努力がある

▼氏の好きな言葉は「これほどの努力を他人(ひと)は、運と言う」。ある人に原稿を書い欲しいと思い立つと「ありとあらゆる努力をした」。20代、30代で午前3時前に家に帰ったことはなかったという。「出版界に見城あり」「これほど広い人脈を持った編集者を他に知らない」など、氏に対する評価は高いが、それは決して運ではなかった

▼「人間は目標がなければ生きられない」と、ある人は言う。それは壮大な目標でなくても、今、目先の小さな目標でもいい。なぜなら目標がなければ人は動かない、あらゆる行動の背景には理由(目標)があるというのが、その言葉の理由

▼戦後の高度経済成長期と異なり、今は目標が定められないと同時に、努力が軽んじられている風潮さえある。しかし、努力をした人は知っている。それが例え目標に届かなかったとしても、何かを見出しうることを。建設業界も厳しい時代が続く。努力をしてもすぐに結果は出ないかもしれないが、今、努力の必要性が改めて求められている。努力が目標の一つであってもいいのではないか。(前・HI)

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