コラム

2003/02/26

デンマークのフェアプレイ(長・MT)

2003.02.26 【デンマークのフェアプレイ】

▼朝日新聞社が運営している情報サイト、アサヒ・コムを見ていたら、スポーツ欄のヘッドラインに「デンマーク代表フェアプレー、PKわざと外して紳士的敗戦」という文字が躍っていた。どんな出来事がこのような見出しに集約されるのか、非常に興味をもった。「本文」をクリックする前に、ストーリーを創造してみた

▼しばらく考えをめぐらせた。サッカーにおける「フェアプレー」と「わざと」と「敗戦」が持つイメージが宙をさまよい、この3つのキーワードが一つに重なり合うことはなかった

▼2月初旬に香港でイランと親善試合を行ったデンマーク代表は、前半終了間際に観客が鳴らしたホイッスルをイランの選手が前半終了の合図と間違えボールを手に取ったところ、審判に反則をとられデンマーク側にPKを与えてしまった。ここでデンマークの監督はPKを蹴る主将に外すように指示。主将も指示通り外した

▼ところが試合は、後半PKを得たイランがこれを決め1対0でデンマークが破れてしまった。勝負にこだわるスポーツの世界で、特に「勝つ」ことが至上である試合で、たとえ親善とはいえ、この行為には相当な勇気が必要だろう。しかしデンマークの監督と選手は当然のように、近代スポーツに忘れかけたスポーツマンシップを発揮した

▼当の主将は「イランの選手が何もわからない状況で、それにつけ込むのは不公平」というコメントをしたという。日常でも人の弱みにつけ込んでという場面に遭遇したら、その理不尽に腹が立つだろう。事の大小、違いにかかわらずこのデンマーク代表の精神を見習いたいものである。(長・MT)

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