コラム

2003/03/15

福田実氏死去に想う(さ・YW)

2003.03.15 【福田実氏死去に想う】

▼先日、福田組(本社=新潟県)の福田実社長が54歳で亡くなられた。国土交通省が義務付けた二次下請け以下の契約金額の明示施行にあたり、ある業界団体と同省との意見交換の席上、意見を求められると「顧客にすべての仕入れ価格を明らかにする業界がどこにあるんだ」と声高に叫び、ゼネコンを含むすべての元請の声を代弁し抗議したあの精悍な自信に満ちた顔が浮かぶ

▼その後、二次下請け以下の代金明示は義務付けでたんたんと施行されてはいるが、未公表扱いとなり企業のトップシークレットの開示までに至らないのは故人の発言も多少は効いているのではないだろうか

▼奇しくも季節は春「3月」。少々不謹慎に聞こえるかもしれないが、「出会いと別れ」の季節が一度にやってくる季節。故人のようなエネルギッシュで業界に大きな足跡を残した人の死去は家族、会社にとどまらずこの上なく悲しいことだ。しかし業界のイメージ改善、若手の育成など業界全体で故人同様に取り組み、努力を続けていくことが重要である。そして、その結果、業界に新進気鋭のリーダーと建設業に情熱を燃やす者が現れてくれたらと願うだけだ

▼とかく建設業界は、周囲と同じことが安心だとする典型的な日本的気質を感じる。あまり個性を顕著に出さず控えめなところがあり、またそれが美徳とする風潮が見える。したがって、営業にしても社長の発言にしてもあまり発注者に対し批判はせず自己アピールもしない

▼しかし、今の困難な時代こそアピール力と他社との違いを明確にする必要があるのではないか。時代が求めた福田氏の死は残念・無念でならない。(さ・YW)

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