コラム

2003/03/21

パンはちぎって食べよ(甲・EO)

2003.03.21 【パンはちぎって食べよ】

▼社会生活の中で、誰でもできて、誰でも理解できる当たり前のマナーが近年、おろそかになってきている。ある全国紙の世論調査によると日本人のマナーが悪くなったと思う、とするものが90%を越えているのだ。世代別には、若い女性がトップで60・3%、中・高校生が59・7%などと続いている

▼これらのマナー違反の内容を見ると、たばこやガム、空き缶などのポイ捨てが67・6%と一番多く、以下、子どもが騒いでも注意しない、公共の乗り物の中で携帯電話を使う42・5%など。いずれも我々が日常経験する事柄ばかり

▼今度は、とあるヨーロッパの一流レストランでの話し。観光客風の日本人が食事に訪れており、運ばれると小さなパンを丸かじりした。それを見ていた地元の客の鋭い視線がその人に集中した。パンはちぎって食べよ、と我が国でも言うがヨーロッパでは、一口でかぶりつく食べ方は、育ちの良い悪いなどの話ではなくて、最も卑しい最低レベルの人間と誤解を受けてしまうそうだ

▼これはキリスト教の考えの中にある「与える喜び」からきているのだという。一口で食べてしまうと、もし突然そこに飢えて死にそうな可哀想な人が現れたら、口をつけてないほうをあげることができない。だから、パンは2つに割るか、小さくちぎって食べなさいとの戒めなのだ

▼近年、日本からの海外旅行は活発で、周辺を見回しても行ったことのない人を探すのが大変なくらいだ。しかし、異文化に触れることはお互いの違いを理解することでもある。現地に赴くときはその風習などを事前によく勉強していくのが最低のマナー。これは単に教育で解決できることだ。(甲・EO)

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