コラム

2003/03/27

地域防災のパートナー(本・SY)

2003.03.27 【地域防災のパートナー】

▼平成14年度の国土交通省国土技術研究会がこのほど開かれた。テーマはアカウンタビリティ(説明責任)に関する自由課題で全国の各地方整備局などの担当官から20の発表があった。住民参加型の川づくり、親子参加の工事現場イベントなど「地元住民への公共事業のPR」についての各地方整備局の日頃の努力が伝わってくる研究会だった

▼この中で印象に残ったものをひとつ紹介したい。「地域防災パートナーシップの取り組みについて」と題する北海道開発局小樽開発建設部交通対策専門官の鈴木達己氏の発表。平成8年と9年に北海道の豊浜、第2白糸の両トンネルで大規模な岩盤崩落事故が発生した。平成9年12月に「岩盤崩落に対する地域防災調査委員会」が設置され、「地域防災パートナーシップ」という概念が提言された

▼地域防災パートナーシップとは、地域住民・道路利用者・事業者、地域の防災関係機関、道路管理者などが緊密な連携・協力を図りながら防災協力体制を充実させることである。具体的には道路防災組織の設置や異常現象を目撃した場合に道路管理者に迅速に通報する体制の構築があげられる

▼小樽開発建設部ではこの体制の構築・充実に努めた結果、昨年、管内で発生した大規模な土石流災害の際、道路上に1、000立方mの土砂が堆積したにもかかわらず、住民、事業者、関係機関などの迅速な情報伝達により被災者ゼロの成果をあげた

▼国内国外を問わず大規模な事故、災害が絶えない今日、「地域の人々の生命・財産を地域の人々の連携で守る」という発想は一見当たり前のようだが、重く響く言葉である。(本・SY)

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