コラム

2003/04/04

危機は大きなチャンス(前・HI)

2003.04.04 【危機は大きなチャンス】

▼日本マクドナルド創業者の藤田田氏が、3月28日付をもって退任した。「ハンバーガー半額セール」で売上げを伸ばし、デフレ時代の勝ち組として知られる同氏だが、このニュースを人はどのように受け止めたのだろうか

▼藤田氏は1971年、米国マクドナルド社とともに「日本マクドナルド」を設立。同年7月に東京銀座に第一号店をオープン、その後わずか10年余りで国内外食産業界のトップに立った

▼同氏の活躍の源は、その強い個性とリーダーシップにある。大学時代にはGHQの通訳をし、1972年には今も多くの読者を持つ「ユダヤの商法」を出版した。ソフトバンクの孫正義氏は、この書をバイブルとして藤田氏に会い、コンピュータを目指したことは有名だ。変わったところでは、太宰治の友人で、三島由紀夫の「青の時代」のモデルとなった光クラブ経営者のスポンサーでもあるなど、多方面で活躍し多くの人が影響を受けた

▼こうしたことから「マクドナルド化」という言葉も生まれた。この言葉は、効率性や画一化されたシステムにより合理化するとを言う。徹底的に統制されたシステムにより無駄を省くことでハンバーガー半額が実現したこのシステムは、世界中のあらゆる分野に浸透した。しかし、全て物事が計算できるものではない。同社は2002年12月期に、29年ぶりに最終赤字に転落した

▼本来、企業の代表者が替わるときは会社も変わるのが常だ。カリスマ的代表者を失った会社は、それ以上の危機に陥ることがあるかもしれない。しかし、会社に残ったものに取って、この危機が大きなチャンスであることも確かだろう。(前・HI)

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