コラム

2003/04/23

日本のモノサシ(甲・EO)

2003.04.23 【日本のモノサシ】

▼建設産業と切っても切れないのが長さの単位のモノサシ。メートル法全盛の現在だが、少し歴史を振り返れば、家屋等建築に曲尺、裁縫に鯨尺が使われていた

▼我が国のモノサシの全国的な単位が定まるのは701年(大宝1年)の古代律令制度時代にさかのぼる。当時の中国の唐の制度を取り入れ、国家が人民に土地を与える一方、税や兵役の義務を負う制度で、これにより古代統一国家が形成された。当時の唐は、貴族文化が栄え、李白、杜甫など中国最高の詩人を輩出したり、絵画や仏教が発展、世界最大の帝国を築いていた

▼長さの単位にも、唐で使われていた尺(しゃく、30・303センチ)、寸(すん、3・03センチ)、分(ぶ、3・03?)、厘(りん、0・3?)などの十進法が取り入れられた。建設業の家屋建築でよく使われたのはエル型をした曲尺。長さや角度の計測のほか、部材仕口の切り墨を求めたり等使用

▼我が国では、大正13年7月1日に、これまでの尺貫法を廃止しメートル法は昭和39年から強制となった。メートル法はもともと、18世紀からフランスで使用されていたものだが、1875年に国際的な基準とするためパリのセーブルでメートル条約が加盟国間で結ばれ世界的に単位が統一された

▼曲尺も、こうして経緯を経て時代とともに、目盛りがメートル表示となったが、約5世紀もの間、日本建築の一翼を担ってきたことや、技術と共に師匠から弟子にと直伝されてきたため、いまでも一部で使われている。裁縫尺としての鯨尺と同様、この歴史や作品・建造物そのものが我が国の文化とも言え、後世にまで継承していってほしいものだ。(甲・EO)

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