コラム

2003/05/31

電子書籍という時代(松・JI)

2003.05.31 【電子書籍という時代】

▼古本屋の存在は消費者にしてみれば読み終えた本を買い取ってくれるし、別の新刊本を安く買えるのだから有り難い。しかし作家側は著書の売れ行きが落ち、印税が入らない。また万引きした新刊本を古本屋に売って小遣いを稼ぐ者もいる。この「本」だが、安く売ることも万引きすることも出来なくなるかもしれない

▼松下電器産業が電子書籍の読書用専用端末を秋に発売する。形は本のように両開き、新方式により文字も鮮明に映るという。単3乾電池2本で数か月も使用可能で、重さは520グラム。主なターゲットは30〜40代だ。あまり普及していない電子書籍だが、この商品で注目されるかもしれない

▼電子書籍は、コンテンツ配信会社からダウンロードで作品を手に入れる。ADSLであれば小説などは数秒でダウンロードできるという。コンテンツ配信会社は出版社と契約して配信するため、価格は同一。またレンタルはできるがコピー不可という機能もあり、著作権侵害の問題もクリアしている。商品はインターネット上のため万引きも不可能だ

▼紙を使わないため資源の節約にもつながる。読み終えた週間誌を買ったその日に捨てることもなくゴミの減量にもなる。部屋に積んで置く事もなくなり、スペースを有効に使うこともできる。良いことづくめのはずだが、寂しさも感じる

▼ページをめくる行為が消える。目次や文体、装丁を見て買う事もない。手に本の重みを感じることがない。ましてや必要なければメモリーカードから気軽に消去してしまえるのである。独特の匂いや色等々が「本」の権威でもある。内容ばかりでは無いのだが。(松・JI)

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