コラム

2003/05/09

バイコロジーとインフラ(水・KK)

2003.05.09 【バイコロジーとインフラ】

▼先の連休、物置から自転車を出して乗った。何年かぶりに風を切って走ると草木の香りが懐かしく、久しく忘れていたものを思い出したような新鮮な感じを覚えた

▼戦前、自転車はリヤカーとともに主に荷物の運搬用だった。戦後になって人の乗り物として定着したが、1965年頃からのモータリゼーションの時代を迎えマイカーが普及してくると自転車は邪魔者扱いされるようになってしまう。73年の石油ショックがきっかけでガソリンを消費しない安価な乗り物として注目されるようになったが、路上放置が急増し大きな社会問題となり、自転車法(81年5月施行)による駐輪対策が進められた

▼最近、バブル崩壊による不況と地球環境問題の両面から自転車への関心がさらに高まっている。自転車の「バイク」と生態学の「エコロジー」からなるバイコロジーという造語も定着した。各都道府県に多くの地域組織が結成され自転車が安全かつ快適に利用できる環境を創り上げることを目的にバイコロジー運動を続けている

▼環境にやさしく、運賃いらずで誰でも手軽に乗れ、市街地であればクルマよりも速い。運動効果も大きく健康的。人と自然とのふれあいの乗り物。いいことづくめの自転車だが、実際に軽快に走れたのは堤防、河川敷、団地周辺くらいで、車道ではクルマが、歩道では歩行者が気になってスムーズに走れない

▼自転車が世界で最も優遇されているオランダの1台当たりの自転車道の延長は約1300?。日本は約80?にとどまっている。バイコロジーの推進には、市民各層のコンセンサスが第一だが、それに相応しいインフラ整備も欠かせない。(水・KK)

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